2020 Fiscal Year Research-status Report
脊髄刺激療法が有効な患者における安静時脳機能的結合の解明
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20K17782
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
本山 泰士 神戸大学, 医学部附属病院, 医学研究員 (10744500)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | fMRI / 脳機能的結合 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年functional MRI(fMRI)でヒト、動物の中枢神経活動に関連した血流動態反応を評価する研究がすすめられており、健常人と比較して慢性痛患者やうつ病患者などで、脳機能的結合が変化している事が報告されている。うつ病においては治療前にfMRIで計測した脳機能的結合が、治療効果のバイオマーカーとなりうる事が報告されている。うつ病患者と同様に慢性痛患者の多くは、最適な治療を得るための長い試行錯誤を経験する。慢性痛に有益な治療の一つに脊髄刺激療法があるが、侵襲を伴いまた高コストで、また必ずしもすべての患者に有効とは言えない。脊髄刺激療法への応答を予測しうる非侵襲的なバイオマーカーを同定する事は非常に有益である。 本研究では、「fMRIで計測した脳機能的結合が、脊髄刺激療法による慢性痛治療応答への予測因子となる」と仮定する。慢性痛痛患者の脊髄刺激療法前に安静時脳機能的結合を計測する。治療前後での痛みのみならず、慢性痛に伴う他の臨床症状(うつ、不眠など)の変化と、治療前の安静時脳機能的結合の関係を明らかにする。 我々は慢性痛患者の治療前の安静時脳機能的結合が、ケタミンによる治療が有効な患者と 無効な患者において異なっている事を以前報告したが、慢性痛患者における脳機能的結合と治療効果の関係を検討した研究はまだ少なく、本研究はその初期の知見になりうる。 令和2年度は現在臨床で脊髄刺激療法を行い、治療前に頭部MRIを撮像している患者のfMRIデータを収集している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19のパンデミックの影響により、不急の治療を受ける患者の治療機会が減少している。厳格なプロトコルを設定した慢性痛治療よりも、これまでのように臨床で患者個々人毎に応じたオーダーメイドの治療を行っていく方が利益があると考えられるため、脊髄刺激療法を行った患者のデータを集積してそれを後ろ向きに解析することを検討しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
得られたデータにより、学会発表や論文投稿によりこの研究の成果を発信していく予定である。rs-fMRIデータは、データが画像ベースであるため比較的解析に時間や解析機材の性能が必要である。今後も研究機材を強化するなどの方針をとっていく予定である。まずは症例の集積を行っていくことを予定している。
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Causes of Carryover |
COVID-19のパンデミックの影響によりCOVID-19のパンデミックの影響により、不急の治療を受ける患者の治療機会が減少している。厳格なプロトコルを設定した慢性痛治療よりも、これまでのように臨床で患者個々人毎に応じたオーダーメイドの治療を行っていく方が利益があると考えられるため、脊髄刺激療法を行った患者のデータを集積してそれを後ろ向きに解析することを検討している。以上の理由により研究の実施が遅れているため。
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