2022 Fiscal Year Annual Research Report
肥満細胞をターゲットとした周術期アナフィラキシーのメカニズムの解明
Project/Area Number |
20K17829
|
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
南雲 一洋 群馬大学, 医学部附属病院, 助教 (10827588)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 周術期アナフィラキシー / 肥満細胞 / 好塩基球 |
Outline of Annual Research Achievements |
アナフィラキシーは重篤で命にかかわる全身性の過敏(アレルギー)反応である。原因薬物を特定できない場合、アナフィラキシーを再現してしまう可能性がある。したがって、原因薬物を同定することは非常に重要である。 本研究の目的は、アナフィラキシー発症にかかわる肥満細胞の役割を調べ、肥満細胞が活性化するタイプのアナフィラキシー症例において原因薬剤を同定するための手法を開発することである。これまで好塩基球活性化試験により周術期アナフィラキシーの発生機序を解明する研究を行ってきたが、一部のアナフィラキシー患者では、好塩基球ではなく肥満細胞が活性化してアレルギー症状が引き起こされたことが示唆された。しかし、そうした症例では原因薬剤を同定することが難しかった。そこで今回、ヒト由来肥満細胞のセルラインであるLAD2細胞を用いて、主に肥満細胞が活性化するタイプのアナフィラキシーの原因薬剤を同定するために、肥満細胞活性化試験をおこなった。本研究により、アナフィラキシー発生機序についての理解が進み、予防法や治療薬の開発につながることが期待される。 研究開始当初はLAD2細胞の培養に苦慮したが、現在は安定して培養することができるようになった。培養したLAD2細胞を用いた予備試験で肥満細胞活性化試験に必要な受容体の発現を確認した。最終年度では、実際にアナフィラキシー患者の血清を用いて肥満細胞活性化試験を実施することで、健常人とは異なる傾向の反応を示すことを確認した。このことは、今後有効な診断方法の一つとなりうる結果であると考えられた。 今回の研究期間では肥満細胞活性化試験の反応性について解明できていない点もまだ残されており、学会や論文で発表できる段階ではないのが現状である。しかし、アナフィラキシーの症例のデータは確実に蓄積できているため、今後も研究を継続することで成果をまとめることができると考えている。
|