2022 Fiscal Year Annual Research Report
Ultrastructural Alteration of Pulmonary Tissue under High Concentration Oxygen Condition
Project/Area Number |
20K17857
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
北川 雄一郎 岐阜大学, 医学部附属病院, 助教 (60863628)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 血管内皮グリコカリックス / 高濃度酸素 / 血管内皮障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
高酸素濃度条件下での肺組織の構造を明らかにするために10週齢のC57BL雄マウスを、それぞれ100%酸素および室内気に72時間暴露した。病変の進行を追跡するため、100%酸素投与後6、12、24、48、72時間目にマウスをSacrificeした。これらのマウスから得られた肺標本は、形態学的解析と免疫蛍光検査を行った。走査型および透過型電子顕微鏡を使用して、内皮グリコカリックスを含む肺毛細血管の超微細構造を確認した。内皮グリコカリックスは硝酸ランタン染色を用いて可視化した。 100%酸素投与群の生存率は5%(2/40)、対照群の生存率は100%であった。100%酸素投与12時間後に血管周囲腔の拡大が検出され,時間の経過とともに拡大した。電子顕微鏡による超微細構造解析では,100%酸素投与群で肺胞および肺毛細血管壁の崩壊と肺胞壁の肥厚が認められた.肺毛細血管内皮の糖鎖は100%酸素投与群で損傷していた。100%酸素投与48時間後に室温に戻したマウスでは、血管周囲腔が減少していた。また、血管内皮グリコカリックスは100%酸素投与群においてその構造の著明な崩壊が見られた。高濃度酸素は血管周囲腔の拡大を引き起こすが、これは高濃度酸素障害の特殊性であると考えられる。また、高濃度酸素は肺内皮グリコカリックス傷害に関与している可能性があることがわかった。最後にグリコカリックスの構成成分の1つであるヘパラン硫酸の合成酵素を血管内皮のみでノックアウトした血管内皮グリコカリックス特異的ノックアウトマウスを高濃度酸素条件下で飼育したところ100%酸素投与後48時間で生存率が10%(1/10)と著しい低下が認められた。さらなる検討が必要ではあるが高濃度酸素条件下の肺胞障害には血管内皮障害もその要因の一つてして考えられた。
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