2020 Fiscal Year Research-status Report
メタゲノム及びメタボローム解析による重症病態の腸内環境デザインの開発
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20K17861
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
村津 有紗 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (90737199)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | メタゲノム / メタボローム / 腸内環境デザイン |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度に実施した研究内容は以下の通りであった。 ・侵襲モデルの作成:侵襲時全身性炎症反応モデルとして、C57BL6/Jマウス雄(6週齢)に対し盲腸結紮穿刺し7日間生存する敗血症モデルを作成した。 ・重症病態における腸内細菌及び代謝産物:敗血症モデルにおいて侵襲前、侵襲後1日目、3日目、7日目の便を採取し、16S rRNA 遺伝子解析と、キャピラリー電気誘導飛行時間型質量分析計(CE-TOEMS)を用いたメタボローム解析を行い腸内細菌や代謝産物の変化を調べた。 研究結果は、1.敗血症マウスモデルにおいて、腸内細菌叢は著明に変化していた。Enterobacteriaceae科は急性期に増加し、亜急性期に減少した。Lachnospiraceae科、 Ruminococcaceae科は急性期に減少し、亜急性期に増加した。2.敗血症マウスモデルにおいて便中代謝産物は、313種類みられた。アミノ酸、Betaine、Cholineなどは増加する傾向にあった。短鎖脂肪酸は減少する傾向にあった。 敗血症をはじめとする重症病態において腸内細菌とその代謝産物の変化を統合的・網羅的に解析することや、その変化に合わせた治療を行い腸管内の恒常性を保つことは、生命予後を規定する重要な因子であると考えている。増減した腸内細菌や代謝産物を投与する腸内環境デザインの有効性を示すことができれば、新たな治療戦略として今後大きく発展することが期待できる。今後は、上記の変動した腸内細菌や代謝産物に着目することで、病態の把握やバイオマーカーの発見につながる可能性があると考え研究を進めていく方針である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
モデルの作成に関して手技の安定化に時間を要した。 メタゲノム解析に関して時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
敗血症モデルでメタゲノム解析とメタボローム解析により増減した腸内細菌または代謝産物の関係を調べるため、介入群では増減した腸内細菌または代謝産物を24時間毎に7日間連日投与する。コントロール群では、生理食塩水を同量及び同スケジュールで胃内に投与し第1、第3、第5病日の便を採取しそれぞれの群での腸内細菌と代謝産物の変化、7日生存率を比較する。 これらを、熱傷モデルや爆傷モデルなど他の侵襲モデルでも腸内細菌及び代謝産物の変化を明らかにする。 また、重症病態患者を対象に腸内細菌及び代謝産物の変化を明らかにする。対象は当科に入院し入院時に人工呼吸器管理を必要とする重症患者(敗血症、外傷、熱中症、熱傷患者など)で、来院時及び入院後の便を採取しメタゲノム及びメタボローム解析による腸内細菌と代謝産物の変化を明らかにし、重症度や生存率への影響について評価する。
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Causes of Carryover |
消耗品購入における消費税端数のため、次年度に使用します。
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Research Products
(2 results)