2022 Fiscal Year Annual Research Report
Pancreatic Endothelial Disorder in Acute Pancreatitis
Project/Area Number |
20K17888
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
安田 立 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 招へい教員 (70869354)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 膵炎 / 好中球 / 血管内皮グリコカリックス |
Outline of Annual Research Achievements |
急性膵炎は、病的に活性化した膵酵素と好中球などの炎症細胞が二次的に産生する炎症メディエーターによって引き起こされる無菌性の炎症であり、最も治療が難しい疾患の一つである。この本態として全身性の血管内皮障害の関与が考えられる。血管内皮上には糖タンパク質や多糖類で構成されるグリコカリックスが存在し、微小循環の恒常性の維持を行っている。炎症はこのグリコカリックスの障害を引き起こし微小循環の破綻につながる。 申請者らは先行研究において好中球による血管内皮グリコカリックス障害が全身性の炎症を増悪させることを示しており、本研究においても、膵炎における好中球の役割を、組織の動態を調べることにより明らかにすることを目的とした。12週齢の雄性好中球コロニー刺激因子ノックアウトマウス(G-CSF-KO)と野生型同腹対照マウスに、セルレインを80μg/kgの用量で毎時間腹腔内投与し、6日間連続でセルレイン誘発膵炎のモデルを作成しました。セルレイン投与後3、6、12、24、36、48、72、168時間後にマウスを犠牲にし、組織学的に検討した。セルレイン投与1週間後の生存率は、コントロールマウスでは100%であったが、G-CSF-KOマウスでは10%と有意に低い値であった。組織学的検査では、G-CSF-KOマウスでは著しい出血と炎症細胞の移動が認められ、炎症の長期化が示唆された。G-CSF-KOマウスでは、炎症の長期化が認められた。さらに血管内皮表面を覆う血管内皮グリコカリックスの障害もG-CSF-KOマウスにおいては抑制されていた。 以上の結果から炎症の急性期における好中球による組織の浄化は、慢性期を通じた治癒に影響を及ぼすと考えられた。
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Research Products
(11 results)