2020 Fiscal Year Research-status Report
重症感染症患者におけるフェリチン値を指標とした栄養投与法の構築
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20K17908
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
加藤 理紗 順天堂大学, 医学部, 助手 (30761598)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | フェリチン / 集中治療 / 栄養管理 / 感染症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,集中治療室に入室した感染症患者において,患者背景によらず血清フェリチン値の変動と異化・同化の相関を証明し,フェリチン値変動を指標とした栄養投与法の構築を目的としている. 高侵襲下にある患者を対象とする集中治療現場では,異化が同化に転じるタイミングを見極め,適切な外因性のエネルギー投与を行うことが要求されるが,その遷移を弁別する最適な指標は未だ確立されていない.そこで感染の極期における鉄動態,とりわけフェリチン値に注目した.感染症急性期には細菌への鉄供給を低下させる鉄動態となり,細胞内でのフェリチンの合成が亢進する.炎症が極期を超えると,フェリチンの合成も減少することが考えられる.感染症の病勢は患者によって異なるが,必ず異化が同化に転じる時期があるため,炎症の極期を見極める指標としてフェリチン値を含む指標が有力と仮説をたてた.フェリチンを基礎疾患によらず,どこの施設でも安価に行うことのできる栄養投与の指標として確立することが本研究の目的となる. 研究は3段階に分けて,①集中治療室に入室した患者の治療経過におけるフェリチンの変化を計測する,②間接熱量計を用いて,フェリチンが異化から同化へ転じるタイミングと一致することを証明する,③フェリチンを指標とした栄養投与の実践し,栄養投与の指標として有用であることを示すことを目標としている. 今年度の研究では,集中治療室に入室した患者全例に対して,ICU入室後day1-7,10,14にフェリチン値を測定するプロトコルを作成し,実践へと移行した.現在データ集積中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初めて実施する前向き研究であるため,プロトコルの作成や見直し,院内倫理委員会からの承認を得るために試行錯誤し時間を要してしまった. またコロナウイルスの感染拡大に伴い,所属する救急・集中治療科が通常の病棟業務に加えてコロナウイルス病棟を担当することとなり,通常の業務より担当する患者数が激増した.このため,臨床業務に割かれる時間が多くなり,当研究へのエフォートが当初想定していたより下がってしまった.
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Strategy for Future Research Activity |
プロトコルの作成は完了しすでに研究を開始しているため,引き続き予定通りデータの集積を推進していく.また決まったプロトコルを研究協力者と共有し,データ集積の効率をあげていく.さらに,気管挿管をされている患者においては次年度実施予定である間接熱量計での必要エネルギー量の測定も並行して行っていく予定である.
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Causes of Carryover |
研究のプロトコルの作成や見直し,前向き研究であり院内倫理委員会の承認を得るために時間を要した.また,所属科が通常業務に加えてコロナウイルス感染患者の入院を担当することとなり,研究に対するエフォートが想定より下がってしまった.これらの理由のため,研究が当初より遅れてしまい,当初使用するはずだった研究費を使用することができなかった. 当初は計上していなかったが,プロトコルを作成する過程で保険適用外となるフェリチンの検査費用が必要となることが判明したため,助成金はこれを中心に使用していく予定である.
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