2021 Fiscal Year Annual Research Report
IL-27およびIL-27関連分子を標的とした脳梗塞における脳保護療法の創出
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20K17973
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
古川 隆 佐賀大学, 医学部, 助教 (60869832)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | IL-27 / cerebral infarction |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、脳梗塞の炎症機序が解明されつつあり、IL-23の関与が報告されている。IL-12関連サイトカインとして、IL-23、IL-27があるが、IL-27と脳梗塞の関連についての報告は少なく、その作用機序についてはまだ明らかではない。IL-27は、p40様サブユニットEBI-3とp35様ユニットp28からなり、免疫反応の促進及び抑制の相反する作用を持つとされている。今回我々は、IL-27p28ノックアウトマウス(IL-27p28KO)脳梗塞モデルを用いて、脳梗塞におけるIL27の作用機序について検討した。 8-12週齢の野生型マウスおよびIL-27p28KOマウスを用いて、糸栓子法で中大脳動脈を60分間遮断後に再灌流し、一過性中大脳動脈閉塞モデルを作製した。再灌流の24時間後に脳を摘出し、脳梗塞体積、神経機能、炎症性サイトカインの発現、炎症細胞の分画および活性化を評価した。 野生型マウス群に比しIL-27p28KOマウス群において、神経機能に有意な差は認めなかったが、脳梗塞体積は有意に減少した。また、IL-27p28KOマウス群において、IL-1β、TNFα、IL-6の発現は有意に低下しており、脳梗塞内へ浸潤するマクロファージ、好中球の細胞数も減少した。さらに、野生型マウス群のミクログリアではMHCclassIIの発現を認めたが、IL-27p28KOマウス群においてはMHCclassIIの発現が低下した。 脳梗塞24時間後において、IL-27を抑制することで、脳梗塞体積が減少した。IL-27および関連因子が新たな治療ターゲットとなることが示唆された。
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