2020 Fiscal Year Research-status Report
成長板軟骨損傷後の修復過程におけるケモカインCCR7/CCL21の果たす役割
Project/Area Number |
20K18017
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
松岡 正剛 北海道大学, 大学病院, 助教 (70816066)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 成長板軟骨損傷 / ケモカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最終目標は、ケモカインCCR7が成長板軟骨損傷の修復過程において果たす役割を解明することである。研究代表者らは先行研究において関節軟骨修復過程において、CCR7が損傷部に集積し骨髄間葉系幹細胞を損傷部に動員することで、関節軟骨修復過程において促進的役割を担うことを明らかにしてきた。そこで、関節軟骨修復過程において骨髄間葉系幹細胞の動員に重要な役割を担うケモカインCCR7は、成長板軟骨修復過程においても重要な役割を担う可能性があると着想するに至った。我々はこれまでにマウス近位脛骨成長板損傷モデルを独自に開発した。本モデルはマウス脛骨近位部成長板に25-G針を外側から内側方向に貫通させることにより、簡便に再現性のある成長板軟骨損傷モデルを作製する。本モデルにおいて損傷を受けた脛骨は健側のコントロールと比較し短縮した。組織学的解析では損傷を受けた術後1週で損傷部位に骨髄由来と考えられた線維芽細胞様細胞が集積し、3週で骨端と骨幹は骨性に架橋され、5週で骨量構造を伴ったPhyseal barが形成されていた。本モデルを用いてケモカインCCR7受容体欠損マウスに適応し、解析を開始した。成長板損傷後、脛骨全長はケモカインCCR7受容体欠損マウスにおいて野生型と比較して、3週では同程度であったが、Physeal barが完成する5週においては成長板軟骨損傷に対して成長障害を強く呈する傾向を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
我々が独自に開発したマウス近位脛骨成長板損傷モデルにより、ケモカイン受容体欠損マウスを用いて解析を行い、ケモカイン受容体が成長板軟骨修復過程において重要な役割を担うことがすでに示された。今後は、組織学的解析ならびに網羅的遺伝子解析を用いて検討を行っていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
ケモカインCCR7受容体欠損マウスにおいて野生型と比較して、Physeal barが完成する術後5週において成長板軟骨損傷に対して成長障害を強く呈する傾向を示した。CCR7が損傷後期に重要な役割を果たしていることに着目し、免疫染色による発現解析を行い解析を継続していく。
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Causes of Carryover |
我々の研究グループはケモカインCCR7受容体ノックアウトマウスのコロニーをすでに構築していたため、今年度は研究費を予定よりも使用することがなかったため、繰越が生じた。また新型コロナウイルス感染症の影響で動物実験を想定より実施できなかったことで、飼育費などの動物実験関連の支出が少なかった。
しかし今年度は、その分多くの動物実験を実施予定であるため、特段に使用計画の変更は必要ないと予定している。
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