2022 Fiscal Year Research-status Report
成長板軟骨損傷後の修復過程におけるケモカインCCR7/CCL21の果たす役割
Project/Area Number |
20K18017
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
松岡 正剛 北海道大学, 大学病院, 助教 (70816066)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 成長板軟骨損傷 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最終目標は、ケモカインCCR7が成長板軟骨損傷の修復過程において果たす役割を解明することである。研究代表者らは先行研究において関節軟骨修復過程において、CCR7が損傷部に集積し骨髄間葉系幹細胞を損傷部に動員することで、関節軟骨修復過程において促進的役割を担うことを明らかにしてきた。そこ で、関節軟骨修復過程において骨髄間葉系幹細胞の動員に重要な役割を担うケモカインCCR7は、成長板軟骨修復過程においても重要な役割を担う可能性があると着想するに至った。 昨年度までに、我々が独自に作製したマウス近位脛骨成長板損傷モデルにより成長板損傷後、脛骨全長はケモカインCCR7受容体欠損マウスにおいて野生型と比較して、骨橋形成が阻害された結果、脛骨の長軸方向の成長を抑制できることを明らかにした。 本年度は解析を進め、成長板軟骨細胞、肋軟骨から採取した軟骨細胞において、血管内皮増殖因子 (VEGF)の発現が低下していることが明らかとなった。また免疫組織学的解析において、VEGFは損傷部に損傷直後に集積することとが示され、これらを総合するとCCR7がVEGFの発現を抑制することによって骨橋形成阻害の一因となっている可能性が示唆された。 2023年度はこれらの結果をもとにCCR7が、骨橋形成に与えるメカニズムについて解析を行う。具体的にはマウスより回収した間葉系幹細胞により分化誘導実験を行い、軟骨分化、骨分化の挙動を確認する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
我々が独自に開発したマウス近位脛骨成長板損傷モデルにより、ケモカイン受容体欠損マウスを用いて解析を行い、ケモカイン受容体が成長板軟骨修復過程において重要な役割を担うことがすでに示された。COVID19のpandemicにより一時研究が遅滞したものの、来年度で分子生物学的解析を行うことで当初の研究計画は果たされるものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
我々が独自に開発したマウス近位脛骨成長板損傷モデルにより、ケモカイン受容体欠損マウスを用いて解析を行い、ケモカイン受容体が成長板軟骨修復過程において重要な役割を担うことがすでに示された。今後は分子生物学的手法により、解析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響で動物実験を想定より実施できなかったことで、飼育費などの動物実験関連の支出が少なかった。しかし、研究自体は順調に進んでおり、2023年度は分子生物学的手法を用いたメカニズムの解析を行う予定である。
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