2020 Fiscal Year Research-status Report
間葉系幹細胞のin vitroの軟骨分化能は軟骨組織修復能の指標となるか
Project/Area Number |
20K18053
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
千々松 良太 東京大学, 医学部附属病院, 特任助教 (60803210)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 間葉系幹細胞 / 軟骨 / 再生医療 / 脂肪幹細胞 / 滑膜幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
関節軟骨欠損への間葉系幹細胞の局所移植が永らく研究されてきたが、治療メカニズムおよび治療に最適な細胞種も未だ明らかでない。間葉系幹細胞の軟骨分化能と軟骨治療効果との関連性が期待される一方で、間葉系幹細胞を未分化な状態で移植しても分化しないとする報告が増えてきており、間葉系幹細胞の軟骨細胞への分化能は意義を見直す必要がある。軟骨分化能は幹細胞の由来組織によって異なるだけでなく、動物種によっても異なる。本研究では、in vitroで細胞が持つ能力と生体内移植後のin vivoでの細胞挙動の相関を調査し、間葉系幹細胞治療の真の有用性について検証を行う。 マウスおよびヒトから脂肪、骨髄、滑膜の幹細胞を単離培養し、それぞれのin vitroでの軟骨分化能を検証した。軟骨分化誘導に用いられる分化因子としてTGFβとBMPが挙げられるが、文献によって使用される分化因子が異なり適切な誘導系が構築されているとは言えない。そこでTGFβ1, BMP2, TGFβ1+BMP2の3条件での分化能を比較することととした。すべての幹細胞で軟骨細胞様の分化を起こすことができたが、興味深いことに、幹細胞の種類によって軟骨分化に必要な分化因子が異なることが明らかになった。これは分化能比較試験の際に用いる分化因子次第で分化能の優劣が左右されうることを示唆している。さらに適切な分化因子の違いは、由来組織の違いだけでなく、動物種の違いによっても異なっていた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、幹細胞の異なる由来組織、異なる由来動物ごとに必要とされる軟骨分化因子が左右されることが明らかになった。前倒しでこれらの特徴が、幹細胞移植治療結果とどう結びつくかをin vivoでの検証を行っている。
|
Strategy for Future Research Activity |
in vitroでの性状の違いがin vivoの軟骨欠損部移植後にどのように反映されるのか、マウスの大腿骨滑車部に欠損を人工的に掘削し細胞凝集塊を移植する。同種実験では細胞追跡のためGFPマウスなどレポーターマウスからの細胞を使用する。異種試験ではSCIDマウスを使用する予定である。
|
Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由:順調に研究が進んでいるため、必要以上に経費をかけずに済んだ。 次年度使用計画:in vivoの解析など、次年度以降の経費のかさむ実験に使用する計画である。
|
Research Products
(11 results)