2021 Fiscal Year Research-status Report
腎癌免疫療法時代の新たな治療戦略構築を目的としたDDX41の機能解明
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20K18143
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
稗田 圭介 広島大学, 病院(医), 講師 (60625630)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 淡明細胞型腎細胞癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
当施設の腎細胞癌に対する腎摘除検体を用いた免疫染色により、DDX41の高発現症例では有意に低発現症例よりも生命予後が増悪する事が明らかとなり、また病理組織学的な腫瘍壊死の存在とDDX41タンパクの高発現は有意に正の相関を示した。変量解析においても、DDX41の発現は独立した生命予後増悪因子であることが判明した。ヒト淡明細胞型腎細胞がんのパブリックデータベース(KIRC, TCGA)の全症例における腫瘍壊死の有無を病理報告書から抽出し、DDX41 mRNAの発現レベルとの関連を調査したところ、腫瘍壊死は腫瘍サイズと相関し、さらにDDX41 mRNA発現レベルとも有意に正の相関を認めた。腎細胞がん細胞株を用いたDDX41過剰発現株の解析では、対照株と比較して有意にサイトカイン・ケモカイン関連経路の発現が亢進していることが明らかとなった。一方で、細胞増殖能(MTS assay)やがん幹細胞性(Sphere formation assay)は、淡明細胞型腎細胞がんの特徴の一つであるVHL機能欠失を有する細胞株でのみ認められた。DDX41の高発現はVHL欠失と強調する事でがん細胞の増殖や幹細胞性亢進に寄与すると考え、野生型VHLを有する細胞株を用いてVHLとDDX41のダブルノックダウン実験を行った。するとダブルノックダウンを行た場合のみ、ケモカインファミリーであるCXCL1, CXCL2, CXCL3のmRNA発現が著明に上昇する事があきらかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験開始時に予想していた結果と矛盾しない結果がIn vitroおよびIn silicoで得られている。加えてVHLとDDX41が協調して働くという新たな知見も得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
CXCL1,2,3に着目し、DDX41の高発現とVHL欠失の存在下でのみ発現が上昇することをIn タンパクレベルで証明するため、腎がん細胞株を用いたDDX41とVHLのダブルノックダウンを行う(siVHL2種類、siDDX412種類)。その上でウエスタンブロットにより各ケモカインの発現レベルを比較する。
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Causes of Carryover |
次年度費用が生じた。次年度は各種ケモカインタンパクの発現を調査するため、ウエスタンブロット用一次抗体を複数本購入するための費用および、同試薬を用いたヒト検体の免疫組織化学的染色に使用するための費用とする。
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