2023 Fiscal Year Annual Research Report
腎癌免疫療法時代の新たな治療戦略構築を目的としたDDX41の機能解明
Project/Area Number |
20K18143
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
稗田 圭介 広島大学, 病院(医), 講師 (60625630)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 腎細胞癌 / DDX41 / ケモカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度はVHL変異を有するまたは有さない(野生型VHLを有する)ヒト腎細胞癌細胞株を用いて、DDX41過剰発現株におけるケモカインの発現を調査した。VHL機能欠失型変異を有する786ーO細胞株においてDDX41を発現させると、CXCL1、2、3の発現が上昇した。一方で、野生型VHLを有するCaki-1細胞株を用いDDX41を発現させても、CXCL1、2、3の発現は上昇しなかった。 次に、野生型VHLを有するCaki-1でもVHLを欠失させると786-Oと同じ現象がおこるかを確認するため、siVHLを2種類購入した。それらをDDX発現Caki-1細胞株にそれぞれ導入した結果、いずれのsiVHLを導入した場合でもCXCL1、2、3すべてmRNAレベルで有意に発現が上昇した。 さらに、このDDX41発現Caki-1細胞株を用いて、今度はsiVHLを導入すると同時にsiDDX41も2種類導入し、過剰発現していたDDX41を抑制し、CXCLファミリーの挙動を観察した。その結果、siVHLを導入してもsiDDX41によりDDX41の発現が抑制されるとCXCL1,2,3全て発現の上昇は認められなかった。 これまでの結果をまとめると、腫瘍壊死を有する淡明細胞型腎細胞癌では、DDX41の発現がタンパクレベル、mRNAレベルでも有意に上昇しており、生命予後増悪に寄与する独立した予測因子となる。淡明細胞型腎細胞癌の多くはVHL欠失を特徴とするが、DDX41の発現は、VHL変異を有する腎細胞癌の場合においてのみ腫瘍細胞増殖に寄与し、ケモカインCXCLファミリーの発現を上昇させることが判明した。
|