2020 Fiscal Year Research-status Report
ペントースリン酸経路を基軸とした卵巣がん幹細胞の治療抵抗性獲得機構の解明
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20K18214
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
山脇 芳 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (90650622)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 卵巣がん / がん幹細胞 / 3次元培養系 / プラチナ抵抗性 / ペントースリン酸経路 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに樹立した卵巣がん患者腹水由来のスフェロイド細胞は20を超えるが、さらなる新規樹立を目指し初代培養を進めた。安定培養可能な卵巣がんスフェロイド細胞すべてにおいてシスプラチン感受性(IC50)を確認したところ、シスプラチンの感受性は細胞間で大きく異なっており、結果から感受性群と抵抗性群の2群に分類を行った。感受性細胞に対し、シスプラチンを長期間低濃度で暴露することでシスプラチン抵抗性細胞を新規樹立し、新規抵抗性細胞と親細胞を解析に用いた。先行研究において、卵巣がん幹細胞の治療抵抗性獲得に寄与する分子としてペントースリン酸経路に関与する一群の酵素を同定し、プラチナ抵抗性獲得にペントースリン酸経路の活性化が重要であることを明らかにしており。また、ペントースリン酸経路は活性酸素種(ROS)産生酵素であるNADPH産生やグルタチオン活性化に寄与していることが知られている。今回、プラチナ抵抗性獲得機序の詳細を明らかにするため、新規プラチナ抵抗性細胞と親細胞でのROSレベルや還元型グルタチオン濃度をin vitro系で検討を行った。その結果、抵抗性細胞においてROSレベルの減少と還元型グルタチオン濃度の上昇が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
スフェロイド細胞の新規樹立およびプラチナ抵抗性の機能的検証が比較的予定通りに進んだため。
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Strategy for Future Research Activity |
ペントースリン酸経路遺伝子のプラチナ抵抗性への寄与に関する追加検証、ペントースリン酸経路酵素阻害剤を用いたプラチナ抵抗性の機能的検証を計画通りに遂行し、卵巣がん幹細胞のプラチナ抵抗性メカニズムの詳細を明らかにしたい。また、ペントースリン酸経路遺伝子であるG6PDやTKTの免疫組織学的染色を行い解析を行い、臨床的な側面からもペントースリン酸経路の治療抵抗性や予後との関連性を明らかにしたい。最終的に研究成果を国際科学誌への掲載を目指す。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大の影響で学会等が一部中止やweb開催となり旅費の支出が抑えられたことや、すでに購入済みの実験試薬を流用することで試薬の新規購入が少なく抑えられたため。
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