2020 Fiscal Year Research-status Report
インフルエンザ菌性慢性中耳炎マウスにおける免疫応答とTLR4の関与
Project/Area Number |
20K18257
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
松永 崇志 大分大学, 医学部, 病院特任助教 (10869861)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 慢性中耳炎 / インフルエンザ菌 / TLR4 |
Outline of Annual Research Achievements |
C3H/HeJマウス(TLR4変異)およびC3H/HeNマウス(WT)に対して、顕微鏡下に無莢膜型インフルエンザ菌(NTHi)を中耳骨胞内に注入し、同時に耳管閉塞処置を行い慢性中耳炎マウスモデルを作成した。1週間ごとに鼓膜所見を観察し、それぞれ1週間後、2週間後、1ヶ月後に断頭して中耳洗浄液を採取してチョコレート寒天培地に塗布してNTHiのコロニー数を計測した。また断頭して得られたマウス頭部は中耳骨胞を含めてホルマリン固定し、脱灰した上でパラフィン切片を作成した。鼓膜所見は1週間マウスはC3H/HeJでは6匹中4匹、2週間マウスは4匹中3匹、1ヶ月マウスは4匹中3匹に中耳貯留液を確認した一方で、C3H/HeNでは1週間マウスは6匹中6匹、2週間マウスは4匹中2匹、1ヶ月マウスは5匹中0匹と長期になるにつれてTLR4変異したマウスでは中耳炎が遷延化しやすい傾向にあった。また、それぞれの生菌数は中耳貯留液の100倍希釈での培養においてそれぞれのコロニー数を計測すると、1週間マウスのC3H/HeJは平均445個、C3H/HeNは平均318個、2週間マウスのC3H/HeJは平均411個、C3H/HeNは平均162個、1ヶ月マウスのC3H/HeJは平均196個であり、C3H/HeNは生育しなかった。これらの結果から、TLR4変異によって急性期の中耳炎のみならず、慢性期の中耳炎に関しても影響を及ぼしていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
耳管閉塞処置を行なった慢性中耳炎マウスにおいて、C3H/HeJマウス(TLR4変異)およびC3H/HeNマウス(WT)を用いて鼓膜所見の観察と細菌クリアランスの計測を行なった。今後は母数をさらに増やし、中耳粘膜における組織学的な評価や炎症性・抑制性サイトカインの濃度変化など細胞学的な解析を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
中耳洗浄液を遠沈し中耳洗浄液上清中の炎症性サイトカインであるTNF-α、IL-1β、 IL-6、 IL-17、抑制性サイトカインであるIL-10、TGF-βといった各種サイトカインの濃度をBioplexを用いて測定する。またTLR2、TLR4についてもELISAで同様に計測し、TLR2、TLR4の濃度との相関を調べる。中耳腔への遊走炎症細胞や中耳粘膜よりRNAを抽出し、炎症性サイトカインである、TNF-α、IL-1β、 IL-6、 IL-17、抑制性サイトカインであるIL-10、TGF-βといった各種サイトカインとTLR2、TLR4に対する定量的RT-PCR法を用いて、サイトカインカスケードとTLRとの関連について解析を行う。組織学的検討として、マウス頭部を10%中性緩衝ホルマリン及びPLPにて固定する。パラフィン切片を作成し、H/E染色による中耳粘膜の炎症性肥厚や炎症細胞浸潤について組織学的変化を評価し、NIH imageを用いて定量的に評価を行う。中耳凍結切片を作成後に、蛍光標識抗体を用いてTLR2、TLR4、CD11b、CD4、CD8T細胞、制御性T細胞、γδ型T細胞など染色し、共焦点レーザー顕微鏡にて中耳粘膜における各免疫担当細胞の動態分布とTLR発現との関連について解析する。
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Causes of Carryover |
購入を検討していた物品が購入できず、次年度に繰り越してしまった。今後はそのほかの物品に使用を検討する。
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