2020 Fiscal Year Research-status Report
腫瘍関連神経と癌微小環境の相互作用によるHPV関連中咽頭癌発癌機構の解明
Project/Area Number |
20K18259
|
Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
波多野 孝 横浜市立大学, 附属病院, 助教 (40807583)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | ヒト乳頭腫ウイルス関連中咽頭癌 / 頭頸部癌 / 癌微小環境 / 神経新生 / HPV / マイクロRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)関連中咽頭癌は化学放射線治療に対する感受性がよく、HPV陰性中咽頭癌と比べ予後が良好である。そのため、2018年に改訂された頭頸部癌取り扱い規約においても中咽頭癌はHPV感染の有無により病期分類は大きく異なるものとなった。しかしながら、HPV関連中咽頭癌の中にも予後不良な経過をたどる例は依然として存在しており、その理由は明らかではない。一方、近年癌微小環境における癌細胞と神経細胞の相互作用が癌の進展に関連することが明らかになった。本研究ではHPV関連中咽頭癌発癌機構における腫瘍関連神経の機能を明らかにすることで、HPV関連中咽頭癌予後不良群に対する新たな治療法開発へつなげることを最終目的として、以下の研究を行う。1HPV関連頭頸部癌細胞由来エクソソームによる腫瘍関連神経新生の評価2RNA sequencingによるエクソソーム中の腫瘍関連神経新生へ関わるmicro RNAの同定3新生した神経によるHPV関連中咽頭癌の増殖促進能の評価4HPV関連中咽頭癌の薬剤耐性機構の解明および予後不良因子の同定。 当該年度はHPV関連頭頸部癌細胞由来エクソソームにおける神経新生に関わるmicro RNAを同定するため、RNA sequencingおよびOpen databaseを用いた複数のバイオインフォマティクスアルゴリズムを用いた検証を行った。 今後は同アプローチより絞り込んだmicro RNA群より最も神経新生に関わると考えられるmicro RNA(miR X)を同定し、さらにHPV陰性頭頸部癌とは異なるHPV特異的な機序の解明についても検証を行うことで、miR Xを介したHPV関連頭頸部癌細胞と神経細胞との相互作用を検証する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度はHPV関連頭頸部癌細胞株由来エクソソームを用いて,腫瘍関連神経新生の評価を行い,さらにRNA sequencingによってHPV関連中咽頭癌細胞由来エクソソームにおける神経新生に関わるmicro RNAを調べる予定であったが,候補となるmicro RNAの絞り込みに時間を要している。そのため,本課題で当初行う予定であったアプローチに加えて,Open databaseを用いた複数のバイオインフォマティクスアルゴリズムによるアプローチにより,HPV関連中咽頭癌の神経新生調節を担うmicro RNAの同定(miR X)を試みている。
|
Strategy for Future Research Activity |
上記アプローチにより同定したmiR Xが神経細胞に起こりうるのかをin vitroおよびin vivoで検討すると共に、HPV陰性癌とは異なるHPV特異的な機序の解明についても検証を行うことで、HPV関連頭頸部癌細胞と神経細胞との相互作用を解明する実験を行う。
|
Causes of Carryover |
今年度の進捗状況がやや遅れており,目的とするmiR Xをターゲットとして行う予定であった実験のための物品費分を使用しなかったため,次年度使用額が生じた。次年度使用額は今年度に行う予定であった実験を行うための物品費用にあてる予定である。
|
Research Products
(5 results)