2020 Fiscal Year Research-status Report
発達期における不十分な味覚刺激が味覚伝導路形成に及ぼす影響
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20K18292
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
冨山 克俊 獨協医科大学, 医学部, レジデント (30850888)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 神経可塑性 / SNAP25 / リッキングテスト |
Outline of Annual Research Achievements |
味覚は、単に生命維持だけでなく、経験や学習を伴うことで摂食習慣、さらには生活習慣そのものに影響する感覚である。経験や学習を伴い、高次の脳機能が動員されると考えられる味覚の中枢における発達形成を、動物モデルで解明する。 その端緒として、現在哺乳期マウスの味覚刺激の差異が引き起こす中枢領域における神経可塑性を明らかにする実験を行っている。具体的には、同一環境で生育したC57BL/6Jマウスを哺乳中の一定期間、親から隔離し、異なる味覚刺激環境を与えることで、成熟期における味覚応答を組織学的・行動学的な解析を試みている。飲水に関しては自由飲水とし、飲水量に関しても記録している。これは、本実験のデザインとして、嗜好性に基づいた味覚刺激による差異の評価を目指している為である。また、5基本味のうち、先天的に回避される味(IUS, innately unpalatable substance)では、自由飲水で十分な飲水量が得られないと考えられたため、本実験ではIUSを除いた3味(甘味, 塩味, 旨味)を選択している。なお組織学的解析には、島皮質(大脳一次味覚野)におけるSNAP25タンパクの発現を一指標としている。また、行動学的解析は、リッキングテスト装置 LKT-1(MELQUEST社)を用いて実施している。 今後は、期間に関しては哺乳期から出生直後まで遡り、味覚環境に関しては刺激の差異から味覚の遮断へ、実験を展開させる計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
行動実験設備の選定に時間を要したため。
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Strategy for Future Research Activity |
現行実験、すなわち哺乳期の中断と以後マウスへの異なった味覚刺激付与の実験を完了する。 次に、当初の計画に沿い、より遡った出生直後からの味覚完全遮断マウス(完全胃瘻栄養マウス)の作成に移る予定である。
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Causes of Carryover |
行動実験設備の選定に時間を要したため、実験に関連する消耗品等の支出が少なかった。 継続中の哺乳期の中断と以後マウスへの異なった味覚刺激付与の実験を完了させる為、実験マウス、免染用抗体、味覚刺激物質等を購入する予定である。また、味覚完全遮断マウス(完全胃瘻栄養マウス)に関しては、まず胃瘻栄養下での十分な栄養・発育のモデルの確立を目指す。新たに実験マウスや胃瘻作成用チューブ等を購入する予定である。
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