2021 Fiscal Year Research-status Report
細胞膜TRPA1イオンチャネル発現解析に基づいた脈絡膜血管新生の新規治療戦略
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20K18354
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
臼井 佑太 和歌山県立医科大学, 医学部, 学内助教 (30816749)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | TRPA1 / 脈絡膜新生血管 / マウス |
Outline of Annual Research Achievements |
滲出型加齢黄斑変性症の病態は黄斑部の脈絡膜新生血管(Choroidal Neovascularization:以下CNV)であり、中心窩に滲出液の貯留や浮腫、網膜下出血などを引き起こし重篤・治療抵抗性の視力障害を引き起こす。CNVの治療では光線力学的療法による退縮(破壊、閉塞)や抗血管内皮細胞成長因子抗体の眼内投与療法による血管退縮治療が保険収載されている。しかし、無効例や治療中の線維瘢痕化などは解決されておらず、新たな治療戦略の確立が必要である。 滲出型加齢黄斑変性症におけるCNVでの細胞膜イオンチャネル受容体transient receptor potential(以下TRP)ファミリーメンバーのTRPA1の役割を解明し、TRPA1を標的とした治療戦略の確立を目的とする。過去の所属での研究成果はCNV発症にはマクロファージを中心としたTGFベータなどのサイトカイン依存性の局所炎症が関与することを示した。代表研究者による予備的データでマウスではTRPA1欠失は局所の炎症性サイトカインの発現低下とともにレーザー誘発CNVの発育を抑制した。本課題では(1)TRPA1欠損マウスのレーザー誘発CNVの発育の抑制に関する詳細な病態解析、(2)血管内皮特異的TRPA1コンディショナル欠失マウスを作出とそこでのレーザー誘発CNV抑制の責任細胞の追究、さらに(3)炎症細胞特異的TRPA1欠失マウスを野生型マウスとの骨髄移植でTRPA1欠失の表現型への炎症細胞の関与の有無を明らかにする。最後にTRPA1欠失の表現型をTRPA1阻害薬で再現する。TRPA1欠失マウスでのレーザー誘発CNVの抑制の詳細な分子メカニズムの解明と表現型の責任細胞の同定から、TRPA1を標的とした新規のCNV治療戦略を提唱することを目的とする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
[方法](1)WTマウスおよびKOマウスを用いた。レーザー照射(4spot)1、3日後にF4/80(マクロファージマーカー)、LY-6C(好中球マーカー)で免疫染色を行いApo Tome.2(ZEISS)蛍光顕微鏡でフラットマウント法を用いて撮影した。(2) WTマウス(n=5)およびKOマウス(n=5)を用いた。レーザー照射(25spot)14日後に脈絡膜組織も用いて、αSMAについてウエスタンブロット法を行った。 [結果](1) WTマウスに比べKOマウスにおける脈絡膜組織では、3日後ではLY-6Cの発現を少なく観察された。F4/80では差は認められなかった。(2)WTとKOに差は認められなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
血管内皮特異TRPA1欠失マウスの作出とそこでのレーザー誘発CNVの発育の検討することと、TRPA1欠失マウスと野生型マウスとの間での骨髄移植での炎症細胞の関与の評価 血管内皮特異的遺伝子Tie2プロモーターでドライブされるTie2-Creリコンビナーゼマウス(導入予定)とTRPA1-floxマウス(所属で繁殖中)の交配から血管内皮特異的コンディショナルTRPA1欠失マウスを作出し、CNVの発育に対する影響を上記の解析方法で検討する。 ヒト網膜微小血管内皮細胞を用いたin vitro実験 ヒト臍帯静脈内皮細胞を用いた血管新生研究におけるTRPA1の役割についての研究は所属研究室で報告(Usiu-Kusumoto K, et al. Exp Eye Res, 2019)したので、本計画ではヒト網膜微小血管内皮細胞を用いてTRPA1アンタゴニスト HC-030031添加群、アゴニスト Allyl isothiocyanate(AITC)添加T群と、非添加群での血管成熟度と関連因子の比較検討を行う。チャンバースライドまたは60 mm シャーレで同細胞にVEGF-A(10 mg/ml)またはTGFβ(1 ng/ml)添加して培養し、上記アゴニスト、アンタゴニスト添加群と非添加群で血管新生活性(tube構造形成)および上記のサイトカインシグナル分子のリン酸化を免疫組織化学とウエスタ ンブロット発現を比較検討する。
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Causes of Carryover |
想定していたおり物品費が安価で購入できたため、次年度計画的に使用する。
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