2020 Fiscal Year Research-status Report
The novel therapeutic strategy via homologus recombination regulator USP26 in head and neck cancer.
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20K18480
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
常松 貴明 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 助教 (70726752)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 頭頸部扁平上皮癌 / 相同組換え |
Outline of Annual Research Achievements |
頭頸部扁平上皮癌はQOLの著しい低下を引き起こす。従って、審美的・機能的損失を軽減する治療法の開発は重要な課題であり、急務である。しかしながら、他の癌で用いられているような有効な分子標的薬はもちろん分子標的となり得る分子の同定も未だ困難な状況である。そこで頭頸部扁平上皮癌の化学療法に用いられている従来の抗癌剤の作用を増強させることを念頭に、本研究ではシスプラチンなどのDNAクロスリンクを誘導する抗癌剤の感受性を決定づける相同組み換え修復機構に着目する。さらに、阻害剤を開発可能な酵素、特に脱ユビキチン化酵素に焦点を絞る。本研究では相同組換えに関与すると考えられる脱ユビキチン化酵素 Ubiquitin Specific Protease 26 (USP26)に着目し、癌細胞におけるその働きや分子機序の同定を目指し、研究計画を実施した。 現在までにUSP26のsiRNAを用いたノックダウンによって、相同組換え修復効率の減少、シスプラチン感受性の増強を明らかにした。加えて、USP26は相同組換え修復を制御するUSP1に結合することを見出し、USP26の887-894のアミノ酸がUSP1との相互作用に重要であることを明らかにした。さらにUSP26のC末端を欠損させた変異体や脱ユビキチン化酵素活性を欠損させた変異体はタンパク質として不安定であり、その原因はポリユビキチン化によるタンパク質分解が亢進しているためであることを見出した。これらの研究成果より、USP26はUSP1と相互作用することで、相同組換え修復に関わることが示唆された。いずれも脱ユビキチン化酵素であるため、USP26がUSP1に結合することで、USP1の機能を制御する可能性とUSP1がUSP26のタンパク質を安定化させることで、USP26の機能を制御する可能性が考えられるため、次年度にその詳細を解明したいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究当初の計画では、BioID2を用いたUSP26の相互作用タンパク質の同定によってUSP26がどのように相同組換え修復に関与するのかを明らかにすることを目指していたが、研究を進める過程で、相同組換え修復を制御する別の脱ユビキチン化酵素であるUSP1と相互作用することを見出したため、当初の研究計画を変更し、USP1に絞って、今後の解析を実施することにしたが、当初の目的に合致しており、概ね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、本年度同定したUSP26の相互作用分子であるUSP1に焦点を絞って研究を進める。本年度の研究成果より、USP26はUSP1と相互作用することで、相同組換え修復に関わることが示唆された。いずれも脱ユビキチン化酵素であるため、USP26がUSP1に結合することで、USP1の機能を制御する可能性とUSP1がUSP26のタンパク質を安定化させることで、USP26の機能を制御する可能性が考えられる。次年度は、USP26、USP1の発現ベクターやsiRNAに加えて、本年度作製したUSP26がUSP1と結合できない変異体を用いて、どちらが上流であるかを明らかにし、USP26-USP1による相同組換え修復機構の詳細を明らかにしたいと考えている。
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Causes of Carryover |
当初の研究計画では、BioID2によるmass spectrometry解析を実施し、同定された相互作用分子を網羅的にsiRNAでノックダウンし、機能的に重要な相互作用分子を同定する予定であったが、研究過程でこれらを実施する必要がなくなったため、次年度使用額が生じた。翌年度分として請求した研究費と合わせて解析費用として使用する予定である。
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Research Products
(6 results)