2020 Fiscal Year Research-status Report
Fusobacterium nucleatumの共凝集メカニズムの解明
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20K18481
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
多田 彩乃 香川大学, 医学部, 助教 (80779463)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | Fusobacterium nucleatum / 共凝集 / バイオフィルム |
Outline of Annual Research Achievements |
Fusobacterium nucleatum は他の口腔内細菌と共凝集し、強固で複雑な口腔バイオフィルムを形成する。口腔バイオフィルムのコアを形成する本菌種がどのように他の口腔内細菌を認識し、自己の凝集能を制御しているのか、そのメカニズムは解明されていない。本菌種の凝集能が口腔バイオフィルムの初期定着菌であるActinomyces naeslundiiの培養上清によって増強することを見出しており、本研究では、A.naeslundii の培養上清中に存在するF.nucleatum の凝集能増強物質を同定し、F.nucleatum がどのように他の口腔内細菌を認識し、どのようなシグナル伝達経路を介して自己の凝集能を制御しているのかを明らかにする。 まず、共凝集能の高いF.nucleatum ATCC25586株とA.naeslundii X-600株を用い、A.naeslundii の培養上清を50%含有する培地でF.nucleatum を2時間および4時間培養後、RNAを抽出した。Illumina HiSeqで1サンプルあたり4 Gbのシークエンス情報を取得し、F.nucleatum ATCC25586株のゲノムにマッピングした。RPKM値を比較し、培養上清を添加したサンプルで有意に発現量が変化する遺伝子群を抽出した。解析した結果、発現量が亢進しているのは付着に関与する外膜タンパク質であった。 今後、RNA-Seq解析結果から共凝集に関与すると推定される遺伝子群を選択し、Real-time PCR法で各遺伝子の発現量を定量を行う。F.nucleatum がどのように他の口腔内細菌を認識し、どのようなシグナル伝達経路を介して自己の凝集能を制御しているのかを明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
A.naeslundii の培養上清を50%含有する培地で2時間および4時間培養したF.nucleatumから抽出したRNAを用いたRNA-Seq解析結果から、有意に発現量が変化する遺伝子群の同定に成功し、各遺伝子の欠損株を作製する準備ができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
RNA-Seq解析結果から共凝集に関与すると推定される遺伝子群を選択し、Real-time PCR法で各遺伝子の発現量を定量する。これらの遺伝子の欠損株を作製し、それぞれの遺伝子欠損株についてA.naeslundii の培養上清を用いたバイオフィルムアッセイを行い、共凝集増強作用が消失したクローンを同定する。F.nucleatum がどのように他の口腔内細菌を認識し、どのようなシグナル伝達経路を介して自己の凝集能を制御しているのかを明らかにする。
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Research Products
(2 results)