2022 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍発生を促進させる自己免疫状態での新規腫瘍免疫システムの解明
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20K18484
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
近藤 智之 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 助教 (10782873)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 腫瘍免疫 / 自己免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
自己免疫状態が腫瘍発生に関与する基礎的な免疫動態を明らかにするために、自己免疫疾患モデルマウスとしてB6/lprマウスを、コントロールとしてC57/BL6マウスを用い、発がん性物質であるAOM (Azoxymethane)の腹腔内への投与及び特異的腸炎誘発剤であるDSS (Dextran sodium sulfate)の自由飲水投与を行うことで大腸癌を発症するモデルの化学発がん実験を行なった結果、コントロールマウスと自己免疫疾患モデルマウスのいずれも大腸に腺腫の発生を認めたが、自己免疫疾患モデルマウスにのみ粘膜筋板を超え粘膜固有層に浸潤する癌胞巣を認める明らかな浸潤癌の発生を組織学的に確認した。免疫学的な原因の探求のため、AOM投与後に、腫瘍免疫を抑制性に制御する制御性T細胞と制御性B細胞の末梢血中での割合を、フローサイトメーターを用いて解析した。その結果、AOM投与後3週で制御性T細胞の割合はコントロールマウスに比較し自己免疫疾患モデルマウスで有意に高かった。 最終年度では、AOM投与後22週では肉眼的な腫瘍数及び腫瘍重量は有意にB6/lprマウスで高値を示すことや、AOM投与後16週の末梢血FCM解析では、対照群に比べB6/lprマウスではPD-1陽性T細胞の割合が有意に増加することを確認した。さらに、7週齢マウス末梢血をPMAとionomysinで刺激すると、対照群に比べB6/lprマウスではPD-1陽性T細胞の割合が有意に増加していた。また、T細胞でのPD-1のMFIは対照群に比べB6/lprマウスで有意に高値を示した。 腫瘍発生環境下での自己免疫疾患モデルマウスにおける末梢血及び腫瘍組織中のT細胞の免疫チェックポイント分子PD-1の発現亢進による腫瘍免疫能の低下が、腫瘍発生の増加を促進させた一因であると考えられた。
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Research Products
(1 results)