2022 Fiscal Year Annual Research Report
IgA response in relation to the salivary microbiota of diabetic patients with periodontal disease.
Project/Area Number |
20K18521
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Research Institution | Osaka Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
大森 実知 大阪医科薬科大学, 医学部, 助教 (60803137)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 口腔内細菌叢 / 糖尿病 / IgA |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,糖尿病患者の口腔細菌環境の特徴を,唾液中の細菌叢,さらに免疫グロブリンA (IgA) 抗体応答性から評価,把握することを目的としている。これまでに,日本人高齢2型糖尿病患者に関連する唾液細菌叢の特徴を見出し,報告している。本年度は糖尿病を発症する前段階である前糖尿病の対象者(空腹時血糖100-125 mg/dLまたは HbA1c 5.6-6.4%,かつ糖尿病治療薬の服用なし)と,年齢および性別をマッチングさせた糖代謝正常者の唾液細菌叢を比較し,その特徴を明らかにした。このことは,前糖尿病の段階を唾液の細菌叢によってスクリーニングできる可能性を示唆している。世界的な高齢化の進行により,今後糖尿病患者の増加が予測されていること,早期の発見が糖尿病予後と関連することから,臨床的意義がある。 さらに,これらの対象者の唾液中の sIgA濃度を ELISAで測定し,唾液細菌叢との関連を調べた。その結果,唾液 IgA濃度が高い群と低い群で細菌叢構成が異なることを明らかにした。さらに,IgA 濃度と特徴的な関連を示す細菌群を見出した。唾液IgAが細菌叢構成に影響している可能性が示唆されたことから,口腔細菌叢を規定する要因のひとつとしてのIgAの役割をさらに調べる必要がある。また,IgA結合細菌が糖尿病および前糖尿病と関連する可能性についての検討も行った。糖尿病患者の口腔管理において,細菌叢に着目するのみでなく,宿主の免疫応答性も考慮するための基礎的データとなり得ると考える。
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