2020 Fiscal Year Research-status Report
プラスチャージナノバブルを用いた象牙質への薬剤導入法の開発
Project/Area Number |
20K18549
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
藤田 将典 愛知学院大学, 歯学部, 助教 (30784566)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 根管消毒 / ナノバブル / 感染根管 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は新型コロナウィルス流行によりプラスチャージナノバブル水の供給が滞ってしまった。そのため、令和2年度に予定していたプラスチャージナノバブル水を用いた実験が前進せず、プラスチャージナノバブルの象牙質への薬剤導入試適条件の検討は進展しなかった。 その代わりに令和3年度に予定していた感染根管モデルの予備実験を行い、その成果の一部は論文にて発表を行った(藤田将典、樋口直也、稲本京子、堀場直樹. ブタ抜去歯を用いた新しい感染根管モデルの検討. 日本歯科保存学会誌 2021 ; 64(2) : 133-140)。この成果により、ヒトの歯と比べて入手しやすく倫理的問題の少ないブタの歯を用いた感染根管モデルでの殺菌効果の評価方法が確立された。 この感染根管モデルにおいてオゾンガスを内包したオゾンプラスチャージナノバブル水を用いて根管洗浄を行った。一定の殺菌効果が認められたが、オゾンプラスチャージナノバブルの濃度・溶媒・適応方法による異なる条件による比較検討が未だ十分に行えていない。しかし、この結果はナノバブル水において溶媒の殺菌効果だけでなくナノバブル内に内包されている気体による殺菌効果も追加できることが示唆された。そうなれば根管治療においてプラスチャージナノバブル水の適応することは、治療の成功率を向上させるとともに、歯質の切削による消失を最小限にでき破折のリスクを減少させられ歯の保存に寄与できるものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和2年度は新型コロナウィルス流行によりプラスチャージナノバブル水の供給が滞ってしまい、プラスチャージナノバブル水を用いた実験が前進しなかった。そのため令和2年度に行う予定であったプラスチャージナノバブルの象牙質への薬剤導入試適条件の検証は行えていない。その代わりに令和3年度に予定していた感染根管モデルの予備実験を行い、その結果の一部は日本歯科保存学会誌にて発表した。また、細菌活性測定キット(M439 Microbial Viability Assay Kit-WST)を用いた評価方法を検証した。 上記感染根管においてオゾンガスを内包したオゾンプラスチャージナノバブル水を用いて根管洗浄を行った。一定の殺菌効果が認められたが、条件による比較検討ができておらず試適条件の決定には至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度はプラスチャージナノバブル水の供給を受け次第、象牙質への薬剤導入試適条件の検証を行う。 プラスチャージナノバブルの濃度および内包するガスの種類により指標となる抗菌薬テトラサイクリンの浸透深度を比べ、最も浸透した条件を試適条件として決定する。サンプルとして利用する予定のブタ抜去歯はすでに処置は終わっており、ナノバブルを受け取り次第施行できる状態にある。 薬剤導入試適条件決定後、プラスチャージナノバブル薬剤導入法による殺菌効果の検証を行う。 GFPラベリング細菌を用いた検証は使用予定の共焦点レーザー顕微鏡が故障しており修理の目処も立っていない。そのため、先に段階希釈を用いた評価に加えて細菌活性測定キット(M439 Microbial Viability Assay Kit-WST)を用いた評価を行う。共焦点レーザー顕微鏡が使用可能となったらGFPラベリング細菌を用いた検証を行い、象牙細管内の殺菌範囲を検証する。 共焦点レーザー顕微鏡の修理が遅れた場合は他施設のものを使用できないか検討する。新型コロナウイルス再流行でプラスチャージナノバブル水の供給が再度滞った場合は予定の次年度への繰越を行う。それでも対応できない場合は研究期間の延長も検討する。
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Causes of Carryover |
令和2年度は新型コロナウィルス流行によりプラスチャージナノバブル水の供給が滞ってしまった。そのため、令和2年度に予定していたプラスチャージナノバブル水を用いた実験が行えなかったため次年度使用額が生じた。 翌年度分と合わせてプラスチャージナノバブルの購入費や実験に関わる消耗品に使用する。
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