2021 Fiscal Year Research-status Report
Clarification of pathophysiology of peri-implantitis based on macrophages and osteocyte autophagy
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20K18608
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
稲葉 菜緒 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 客員研究員 (00814170)
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Project Period (FY) |
2021-02-01 – 2024-03-31
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Keywords | インプラント周囲炎 / インプラント / LPS |
Outline of Annual Research Achievements |
歯科インプラント治療は欠損歯列の回復に有効な治療選択肢のひとつだが,生物学的合併症のひとつにインプラント周囲炎がある.インプラント周囲炎は難治性の硬軟組織疾患として深刻な問題であり,わが国における高齢化率の高まりとも相まって今後も患者数は増加の一途をたどると予想されるが,なぜ発症する患者としない患者がいるのか分からない.一方近年,自食作用を特徴とするオートファジーに関する研究が注目されており,免疫応答の要であるマクロファージや骨関連細胞に重要な役割を果たすことが証明されている.オートファジーが炎症や細菌感染に深く関与することも報告されており,インプラント周囲炎との関連性が強く予想される.そこで本研究の目的は,インプラント周囲炎モデルを研究ツールとして用い,オートファジーを基軸としたインプラント周囲炎の発症機構を解明することにある.研究代表者はリガチャー誘発型インプラント周囲炎モデルではなく,LPS誘導型インプラント周囲炎モデル開発のため,動物実験を展開してきた.そしてついに,ラット上顎骨に埋入されたインプラント周囲にLPSによる炎症性反応を惹起することに成功し,骨吸収が認められるモデルを構築した.現在は解析を行っている段階であり,インプラント周囲骨組織の破骨細胞ではインプラント周囲炎モデルで有意な破骨細胞活性が認められていた.今後は,組織病理学的ならびに免疫病理学的解析を行う計画を立てている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
LPSを投与することにより,ラットインプラント周囲炎モデルの開発に成功し,すでに組織学的な解析も開始できたことから,総合的に鑑みておおむね順調に進展していると判断できる.
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Strategy for Future Research Activity |
それぞれのインプラント周囲炎モデルにおける病態解析を詳細に行い,オートファジーとインプラント周囲炎の病態との関連性を網羅的に検索する.① 構造学的・組織病理学的・免疫病理学的解析によるインプラント周囲硬軟組織の病態評価(1)構造学的解析:マイクロCT画像から,インプラント周囲骨組織の3次元的構造解析を行う.(2)組織病理学的解析:屠殺後採取したインプラントを含む組織片は脱灰後にインプラントを逆回転させ慎重に撤去する.ヘマトキシリン-エオジン染色,トライクローム染色,クロシリウスレッド染色を行い,骨面積,骨細胞数,空の骨小腔数,コラーゲン産生(I型とIII型)ならびに多形核白血球浸潤などを定量解析し,病理組織学的定量評価を行う.なお,骨組織の脆弱化は所属講座の既報に従い,マイクロCTとH-E染色から骨量と骨密度の評価を,また,コラーゲン線維と骨細胞の配向性解析から骨質の評価を行い,骨組織が量的・質的に脆弱化しているかを比較・検討・判断する.(3)免疫病理学的解析:軟組織では,今回焦点を当てるマクロファージと,炎症と高い相関を示すTh17細胞を,また硬組織では骨芽細胞と破骨細胞に対する免疫染色を行い,免疫病理学的に定量評価する.② オートファジーに関連する分子動態評価① -(2),(3)で着目したマクロファージ,Th17細胞,骨芽細胞,破骨細胞,骨細胞におけるオートファジー関連分子の産生を免疫組織化学的に解析する.また,インプラント周囲軟組織から細胞群を抽出し,イメージングフローサイトメトリーにより,マクロファージにおける各種オートファジー関連分子発現を定量評価する.
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