2020 Fiscal Year Research-status Report
大脳皮質拡延性抑制動物モデルを用いた、片頭痛に対する呉茱萸湯の作用機序の解明
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20K18722
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高津 芙美 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (00850273)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 片頭痛 / 大脳皮質拡延性抑制 / 漢方薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
片頭痛は激烈な頭痛発作を繰り返す疾患で、原因不明の歯痛や顔面痛を主訴として歯科を受診する場合も多いといわれている。片頭痛の発症メカニズムは未だ確立されていないが、髄膜に分布する三叉神経血管系及び大脳皮質拡延性抑制(Cortical Spreading Depression, CSD)との関与が最も有力といわれている。 片頭痛の予防薬として、抗てんかん薬、抗うつ薬、β遮断薬、Ca拮抗薬などの西洋薬の他に漢方薬の呉茱萸湯が有効であるといわれてきた。しかし、漢方薬は経験的に使用され発展してきた治療薬であるため、基礎研究や臨床研究などの科学的裏付けとなる研究が不足している。そこで、本研究では、片頭痛の治療薬として経験的に使用されてきた漢方薬の呉茱萸湯に焦点をあて、片頭痛動物モデルであるCSDモデルに対する効果やその作用機序について検討し、明らかにすることを目的とした。 今年度は、まず呉茱萸湯の慢性投与の条件設定を行った。呉茱萸湯を3%の濃度になるように混餌した飼料を4週間投与したところ、飼料の摂取量、体重増加量とも呉茱萸湯を混餌していない固形飼料を投与したコントロール群と大差なかった。このことより、この条件で以後の実験を行うこととした。片頭痛予防薬として使用されている西洋薬の慢性投与によりCSD発生が抑制されたという報告があることより、CSD発生に対する呉茱萸湯慢性投与の影響について検討した。その結果、その発生数はコントロール群とほとんど差はないことが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
テレワークなどにより実験を行える時間が限られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
呉茱萸湯慢性投与の片頭痛抑制効果はCSD発生抑制によるものではないことが明らかとなったことより、それ以外の作用機序について免疫染色、行動実験で検討していく予定である。
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Causes of Carryover |
【理由】 実験の進捗が遅れているため、使用する動物数や薬品類、設備備品類が少なかったため。 【使用計画】 実験動物、物品購入に使用する予定である。
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