2020 Fiscal Year Research-status Report
基底膜ー上皮細胞相互作用を介したエナメル芽細胞分化機構の解明
Project/Area Number |
20K18762
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
鮒田 啓太 九州大学, 大学病院, 後期研修医 (80847997)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 歯 / 上皮-間葉相互作用 / 細胞外マトリックス / 基底膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯は上皮-間葉相互作用により形成される器官であることが知られているが、上皮細胞と間葉細胞の間に介在する基底膜は、シグナルを仲介する細胞外マトリックスであり、様々な機能を有していると考えられる。これまでの研究で、Npntはその構成ドメインの一つであるEGF like repeat配列を介してEGFシグナル伝達経路を調節し、歯原性上皮幹細胞の分化、維持に重要な可能性を示してきた。一方でNpntはC末端側にRGD配列を有することから、RGD配列を介したIntegrin シグナルへの関与が示唆される。そこで本年度はNpntのRGD領域の機能を解明することを目的として研究を行った。まず、recombinant Npntを培養皿にコーティングし、歯原性上皮幹細胞であるM3H1細胞を播種したところ、細胞接着能が上昇した。この細胞接着はRGD配列と拮抗するRGDペプチドを添加すると抑制された。この結果は、Npntの細胞接着活性部位はRGD配列であることが示唆され、Npnt-ingegrin結合が何らかの役割を果たしている可能性が考えられた。そこで、RGD配列を欠失させたNpnt-dRGD発現ベクターを作製し、細胞分化能を検討したところ、Npnt-FL遺伝子導入群ではエナメル芽細胞分化マーカーであるAmbnの発現量が上昇したが、Npnt-dRGD遺伝子導入群では上昇が認められなかった。以上の結果から、NpntのRGD領域は上皮細胞の分化制御を行っている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
歯の発生における基底膜分子NPNTのRGD配列の機能解析が進み、新たな分化制御機構の可能性を発見した。本年度の結果は、実験計画がおおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
NPNTのRGD配列が細胞分化に影響を与えている可能性が示唆された。この結果はRGD配列を介してintegrinがその刺激の受容を担っている可能性が考えられる。今後は、NPNTと結合するintegrinの同定を図り、新たな歯の上皮細胞の分化機構の解明を目指す。
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Causes of Carryover |
今年度はcovid-19影響下による学会の中止が相次ぎ、申請していた旅費の執行が不可能であった。それ以外は概ね予算通りの支出であったと考えられる。 本年度の研究で、基底膜分子の新たな機能を発見できたため、当該助成金は次年度の分子機能解析の費用に当てる予定である。
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Research Products
(3 results)