2020 Fiscal Year Research-status Report
メカノバイオロジー統合解析による歯槽骨のリモデリング制御機構の解明
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20K18776
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
小笠原 毅 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 特任助教 (50844669)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 歯科矯正学 / 矯正学的歯の移動 / 骨代謝 / 有限要素解析 / メカノバイオロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は歯の矯正学的移動における歯根膜のメカノセンサー機能に着目し、歯根膜のメカニカルストレスによる歯槽骨リモデリングの制御機構を解明することを目的とする。ラットを用いたin vivo実験系にて歯の移動実験を行い、マイクロCT撮像および組織学的観察にて、歯根周囲の細胞誘導、骨添加・骨吸収等の項目で歯槽骨のリモデリングを評価する。並行して有限要素法にて歯の移動実験を再現する応力解析を行い、歯根膜の応力分布を算出する。その後両実験結果を統合し、対応パターンを評価することで、歯槽骨のリモデリングを惹起する歯根膜のメカニカルストレスを明らかにすることを目指す。 その第一段階として、2020年度においては、ラット口腔内における歯の矯正学的移動の有限要素解析手法の確立を行なった。Wistar系ラットの上顎骨標本のマイクロCTを撮影し、DICOMデータを元に画像解析ソフトウェアMimicsを用いてセグメンテーションを行い、歯、歯根膜、周囲歯槽骨の三次元画像をそれぞれ構築した。その後、有限要素解析ソフトウェアFEMAP with NX Nastranにて三次元画像を三次元シミュレーションモデルに変換した。臼歯の移動実験を再現するよう各境界条件を設定し、今後予定しているコイルスプリングと同じ荷重を第一臼歯に付与して応力解析を行った。過去の報告と同様の解析結果が認められたことから本解析手法の妥当性が示され、次年度に予定している実験動物を用いた応力解析に用いることを想定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
申請当初、初年度はWistar系ラットを用いた歯の移動実験を行うことを計画していたが、新型ウィルス感染拡大に伴い動物実験を行うことができない時期が存在した。そのため予定を変更し、有限要素解析手法の確立を先立って行うこととした。Wistar系ラットの上顎骨標本のマイクロCTを撮影し、DICOMデータを元に画像解析ソフトウェアを用いてセグメンテーションを行い、歯、歯根膜、周囲歯槽骨の三次元画像を構築した。その後、有限要素解析にて三次元シミュレーションモデルを構築し、臼歯の移動実験を再現することが可能な各境界条件を決定した。 動物実験に関しては、次年度で進捗回復が可能と見込んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はWistar系ラットを用いた歯の移動実験を行い、マイクロCT撮像および組織学的観察にて、歯槽骨のリモデリングを評価する。並行して撮像したマイクロCT画像から有限要素解析モデルを構築し、順次応力解析を行う。実験動物の個体差は応力解析結果に影響を当てることが予測されるため、実験動物ごとに解析モデルを構築し、歯根膜応力分布を算出する。 また、両実験結果の統合解析手法についての検討も進捗させる。
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Causes of Carryover |
申請当初、初年度はWistar系ラットを用いた歯の移動実験を行うことを計画していたが、新型ウィルス感染拡大に伴い動物実験を行うことができない時期が存在した。予定を変更し、有限要素解析手法の確立を先立って行うこととしたため、動物実験関係の費用は次年度に持ち越し使用することとした。 また同様の理由で学術大会がオンライン開催へ変更されたことに伴い、旅費関係の費用は次年度に持ち越し使用することとした。
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Research Products
(1 results)