2022 Fiscal Year Annual Research Report
メカノバイオロジー統合解析による歯槽骨のリモデリング制御機構の解明
Project/Area Number |
20K18776
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
小笠原 毅 東京医科歯科大学, 東京医科歯科大学病院, 助教 (50844669)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 歯科矯正学 / 矯正学的歯の移動 / 骨代謝 / 有限要素解析 / メカノバイオロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は歯の矯正学的移動における歯根膜のメカノセンサー機能に着目し、歯根膜のメカニカルストレスによる歯槽骨リモデリングの制御機構を解明することを目的とする。ラットを用いたin vivo実験系にて歯の移動実験を行い、μCT撮像および組織学的観察にて、歯根周囲の細胞誘導、骨添加・骨吸収等の項目で歯槽骨のリモデリングを評価する。並行して有限要素法にて歯の移動実験を再現する応力解析を行い、歯根膜の応力分布を算出する。その後両実験結果を統合し、対応パターンを評価することで、歯槽骨のリモデリングを惹起する歯根膜のメカニカルストレスを明らかにすることを目指す。 2022年度においては、ラットを用いて矯正学的歯の移動実験を行った。切歯と臼歯にコイルスプリングを装着し、臼歯を近心移動させた後、1-3日の待機期間を経て周囲組織ごと摘出した。歯の移動は先行研究と同程度確認された。また組織学的観察にて歯根膜周囲の骨芽細胞、破骨細胞の発現をTRAP/ALP染色にて評価した。有限要素解析においては、荷重条件を解析モデル上に正確に再現するために、移動を行う歯だけでなくコイルスプリングを含んだ歯列全体のμCTを撮像し、解析モデルを作成。歯の移動実験と同等の荷重を負荷し応力分布および歯の偏位を観察した。組織切片と有限要素解析結果の統合については、切片作成部位に対応した応力分布のコンター図を誤差0.05 mm以下の精度で抽出し重ね合わせ、応力と骨芽細胞、破骨細胞発現の関係性について評価した。結果として歯の初期移動においては、前述の細胞は荷重の圧迫側・牽引側に分類されない発現様相を呈し、応力値とは1:1関係ではない複雑な対応パターンを呈する可能性が示唆された。
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