2021 Fiscal Year Research-status Report

Development of tongue retraction strength sthenometer

Research Project

Project/Area Number	20K18823
Research Institution	Kanagawa Dental College
Principal Investigator	原豪志神奈川歯科大学, 歯学部, 診療科准教授 (10804164)
Project Period (FY)	2020-04-01 – 2023-03-31
Keywords	摂食嚥下障害 / 舌運動 / 舌後方運動量
Outline of Annual Research Achievements	摂食嚥下機能は複数の筋肉の協調した運動であるためそれらの筋肉の運動機能を評価することが大事である。摂食嚥下関連筋群のうち、舌筋は食塊の形成や送り込みに関与する。一方で、咽頭期においては舌が後方に運動することで食塊を咽頭から食道へ押し込む運動を行う。現在、汎用化された舌運動機能評価として舌圧計測があるが、これは舌が上方運動する際の力を計測したものである。そのため咽頭期で生じる舌の後方運動を評価する方法はこれまで報告されていない。この点に注目し、本研究では、舌の後方運動を評価するために舌後方運動力計を開発し、舌後方運動力の計測を2020年度に試みた。14名の健常人において計測を行なったところ、舌後方運動力の平均値は、1.94±0.89kgであり、既存の舌圧との相関係数はr=-0.157と低く、舌圧計とは異なる外舌筋の計測が可能であると考えられた。 2021年度は、舌後方運動力計を使用して摂食嚥下障害患者の計測を実施する予定であった。しかし、複数の摂食嚥下障害患者において舌後方運動力計の計測を実施したが、多くのケースで舌を吸引し舌を後方に牽引する際に、対象者から疼痛の訴えがあった。そのため、摂食嚥下障害を対象とした継続な計測が現実的に困難であると考えられた。そのための代替案として、舌が後方に移動する距離を定量評価する方法を検討し、舌後方運動量計を開発した。舌後方運動量の計測は舌プローブを使用し、吸引器によって舌を吸引した状態で舌を後方に運動させ、舌プローブが移動した量を計測する。本法を摂食嚥下障害患者において実施したところ、疼痛の訴えもなく計測が可能であると考えられた。しかし、COVID-19の感染拡大により、健常成人や摂食嚥下障害患者を対象とするデータ採集が困難であったため、本研究課題の延長申請を行なった。
Current Status of Research Progress	Current Status of Research Progress 4: Progress in research has been delayed. Reason 2021年度は、舌後方運動力計を使用して摂食嚥下障害患者の計測を実施する予定であった。しかし、複数人の摂食嚥下障害患者において舌後方運動力計の計測を実施した際に対象者より疼痛の訴えがあった。舌後方運動力の計測は、舌を舌プローブにて吸引し舌と舌プローブを一体化させた状態で舌を後方に運動させることで、舌後方運動時の当尺性収縮の筋力を計測する。しかし、摂食嚥下障害を抱える高齢者では舌粘膜の菲薄化していることが考えられ、本計測時に舌に対する疼痛が生じてしまった。そのため舌の後方運動を定量化する別の計測方法を模索する必要があった。舌の当尺性収縮を計測することが疼痛の原因であるため、舌の後方移動量を舌の後方運動機能の指標とし、舌後方運動量計の開発に着手した。そのため、開発に時間を要したことが進捗状況に遅れをきたした原因の一つとなった。舌後方運動量計は舌を吸引する舌プローブとメモリ付きの舌プローブカバーから構成される。舌プローブカバーを上下顎前歯部にて咬合し、舌プローブを使用し吸引器にて舌を吸引した状態で舌を後方に牽引してもらった。その際の舌プローブの移動量を舌の後方運動量とし、舌プローブカバーのメモリにて計測した。2人の健常成人にて計測を行なったところ移動量は35mm～51mmであった。また摂食嚥下障害患者2名においては、舌の後方運動量は23mm～30mmであった。計測時には疼痛の訴えがなく現実的に継続した計測が可能であると考えられた。しかし、COVID-19の感染拡大により、健常成人や摂食嚥下障害患者を対象とするデータ採集が困難となったため本研究課題の大幅な遅延が生じ、今回、研究課題の延長申請を行なった。
Strategy for Future Research Activity	本研究課題の目的は舌後方運動の定量化であり、当初、舌後方運動力計を開発し機器の信頼性や妥当性について研究を進めていた。しかし、計測時に疼痛が生じることから、舌後方運動量計を新たに開発し計測プロトコールの決定は昨年度時点で終了している。本年度においては、健常成人、摂食嚥下障害患者における舌後方運動量の計測を実施する予定である。また計測において、COVID-19の影響が少なからず考えられることが本年度の一番の課題であるが文部科学省が発行した感染拡大の防止と研究活動の両立に向けたガイドラインや申請者が所属する機関の感染対策を参照し、研究活動を実施する予定である。具体的には、３密を避け、マスクやアクリル板などを使用した一般的な感染予防策の徹底に加え、症状のある対象者の計測を実施しないことなどを徹底したい。
Causes of Carryover	繰越金については、昨年度、COVID-19により開発した機器の計測が困難であったこと、成果の学術発表が出来なかったことが原因である。そのため計測に使用する消耗品や学術大会の旅費に当てたいと考えている。