2023 Fiscal Year Research-status Report
Accessibility to diabetes care for Japanese elderly diabetic patients
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20K18871
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
田中 理恵 筑波大学, 医学医療系, 研究員 (60827418)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 患者の意向 / 患者ケアの連続性 / テキストマイニング / 離散選択実験 / 糖尿病 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は予備調査の結果をもとに、高齢患者が糖尿病治療を継続するための選好要件として優先する傾向が示された医療者との関係性と地理的時間的な利便性に関する内容の詳細を検討した。予備調査で得られた自由記載の回答を、テキストマイニング法による共起ネットワーク分析により表した結果、医療者、特に医師との関係性においては専門性や人的交流、長期的な保証が質的に重視されており、他の医療者については情報管理に関する安全性が挙げられていた。また医療者全般には接しやすさが共通に選好されることが明らかとなった。これらを考慮したうえで、高齢患者が好む傾向にある医療施設の属性を相対的に重みづけすることにより、受診環境の調整を提案することにより、地域医療連携のもとで糖尿病治療を継続するための包括的な医療提供体制を強化することを目指している。 上記の結果を受けて、研究計画の最終段階にあたる糖尿病外来患者を対象とした質問紙調査を実施した。予備調査の結果とこれまでの文献検討の知見をもとに離散選択式の質問紙原案を作成し、専門家による内容の吟味とプレテストを経て完成させた無記名自記式質問紙を用いて、糖尿病専門外来に来院した患者に説明文書を付して、調査協力への同意の表明と質問紙への記入を依頼し、記入済みの質問紙を郵送にて回収した。事前に推計した対象者数を十分に満たす参加者から回答を得ることができ、調査結果については糖尿病治療を継続するための受診先の属性の優先性について、コンジョイント分析の手法を参考にデータ解析を行っている。本調査では対象者を幅広い年齢層に拡大したことにより、先行研究で示唆された加齢に伴う選好への影響をはじめ、通院手段などの生活背景や併存疾患を含む臨床像の詳細についても解析を進めている。これらの結果をもとに、今後は高齢者はもとより各年齢層、患者層に応じた糖尿病治療継続のための受診環境を提案していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症が感染症法上の5類に移行したことを受けて、質問紙調査の実施時期を見合わせたことによる遅れが生じているものの、補助事業期間を延長したことで当初の計画に沿って研究を進めることができている。質問紙調査は予定していた糖尿病診療データベースからの診療情報の取得は行わず、当事者を主体とする結果を得るために患者報告による形式とした。また高齢者のみを対象とする計画から成人期以降の人を対象としたことでの変更は生じているが、これらによる研究の進捗への影響は特段ない。
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Strategy for Future Research Activity |
当該研究課題の目的をより精緻に達成するための研究の実施を主として、今後は成果公表などを予定している。具体的には、調査協力者に向けたプレスリリース、論文投稿、資料整理と保管、報告書の作成等を行っていく。
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Causes of Carryover |
補助事業期間中に新型コロナウイルス感染症予防対策を遵守したことにより、資料整理のための人件費や会議費用を使用しなかったため残額が生じている。学会発表のため旅費を使用したが、当初の計画で予定していた使用額には満たなかった。最終年度は成果公表に向けた学術集会への参加費、論文作成のための資料購入費、英文校正費、論文掲載料、資料整理や保管のための記録媒体の購入などに次年度使用額を充当することを計画している。
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