2021 Fiscal Year Research-status Report
オープンデータを利用した日本におけるHIV治療の変遷と実態の把握
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20K18892
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
田中 博之 東邦大学, 薬学部, 講師 (30747770)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | HIV感染症 / 抗HIV薬 / オープンデータ |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度の研究計画に従って実施し、「オープンデータを利用した日本におけるHIV治療の変遷と実態の把握」について下記の研究成果を得た。 1.NDBオープンデータを用いた抗HIV薬使用の実態・変遷の調査・解析 第5回および第6回NDBオープンデータより、2018年度と2019年度の2年間の抗HIV薬の使用実態を調査した。昨年度までに第2回~第4回NDBオープンデータの調査が終了しており、今年度の調査で2015年度~2019年度の5年間の抗HIV薬の使用実態を明らかにすることができた。特徴的な結果として、2019年時点においてテノホビル製剤に占めるテノホビルアラフェナミドフマル酸塩の割合は95%以上であり、2016年の時点よりもさらにテノホビルジソプロキシルフマル酸塩からの置換わりが進んでいたことが明らかとなった。さらに、2019年時点においてキードラッグに占めるインテグラーゼ阻害薬(INSTI)の割合は約84%であり、HIV感染症治療は、INSTI中心のレジメンに集約されつつある状況が明らかとなった。 2.JADERを用いた抗HIV薬に関連する有害事象の発現状況の調査・解析 昨年度に作成したHIV感染症症例のデータベースを使用して、報告数上位の薬剤、報告数上位の有害事象、症例の背景因子、報告年度を調査した。報告数上位の薬剤は、ラミブジン、リトナビル、エムトリシタビン/テノホビルジソプロキシルフマル酸塩(配合剤)、エファビレンツ、ロピナビル/リトナビル(配合剤)であること、また、報告数上位の有害事象(MedDRA PT)は、免疫再構築症候群、腎機能障害、貧血、糖尿病、肝機能異常であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画通りに進捗している。本年度は、昨年度行うことができなかった学会発表をWeb開催ではあるが、行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き計画に沿って研究を推進していく。すなわち、「NDBオープンデータを用いた抗HIV薬使用の実態・変遷の調査・解析」では、5年間の変遷を様々な視点(性別、年齢別(20~49歳、50歳以上)、地域・都道府県別、処方区分別(院内処方、院外処方)、Single Tablet Regimen等)からより詳細に解析していく。また、「JADERを用いた抗HIV薬に関連する有害事象の発現状況の調査・解析」では、各有害事象の発現時期や背景因子、ガイドラインの推奨薬剤の変遷と有害事象報告との関連性などについて解析していく。
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Causes of Carryover |
学会がWeb開催となり、旅費等が発生しなかったことが次年度使用が生じた理由の一つとして挙げられる。また、論文投稿を行うことができておらず、それに伴う諸経費(英文校正費、投稿料)が未使用となったことも挙げられる。 令和3年度の未使用額と令和4年度の交付額を合わせた金額は、学会発表に係る旅費、論文投稿に係る英文校正料等、その他の消耗品(書籍、統計解析ソフトウエアライセンスの更新等)の購入に使用していく予定である。
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