2022 Fiscal Year Research-status Report
オープンデータを利用した日本におけるHIV治療の変遷と実態の把握
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20K18892
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
田中 博之 東邦大学, 薬学部, 講師 (30747770)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | HIV感染症 / 抗HIV薬 / オープンデータ |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度の研究計画に従って実施し、「オープンデータを利用した日本におけるHIV治療の変遷と実態の把握」について下記の研究成果を得た。 1.NDBオープンデータを用いた抗HIV薬使用の実態・変遷の調査・解析 昨年度までに、2015年度から2019年度までの5年間の抗HIV薬の使用動向調査が終了したため、本年は、作用機序、単錠レジメン(STR)または非STR、年齢層、性によって層別化し、より詳細な解析を行った。研究期間を通じて、バックボーンとしてのテノホビル アラフェナミド フマル酸塩とキードラッグとしてのインテグラーゼ阻害剤の処方量が増加した。2019年度には、STRは抗レトロウイルス併用療法(ART)全体の約44%を占めた。また、新しい薬剤やレジメンの登場により、抗HIV薬の処方選択において性や年齢による違いが小さくなった。NDBオープンデータは、日本における抗HIV処方の最近の傾向を比較的容易に評価することを可能にし、この分野における継続的な調査に有用であることを示した。 2.JADERを用いた抗HIV薬に関連する有害事象の発現状況の調査・解析 昨年度に引き続き、JADERに登録されたHIV感染症症例における有害事象とその原因薬剤の解析を行った。ガイドラインで推奨されるARTレジメンの変更にもかかわらず、研究期間を通じてHIV感染症患者における有害事象の主な原因は抗HIV薬であった。しかしながら、原因薬剤として登録されている抗HIV薬のクラス、特にキードラッグの報告割合には大きな変化が見られた。すなわち、インテグラーゼ阻害剤の報告割合が近年上昇し、プロテアーゼ阻害剤と非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤の報告割合は低下していた。また、女性や高齢者では、報告された有害事象に全体と異なる傾向が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた解析は終了した。現在、「JADERを用いた抗HIV薬に関連する有害事象の発現状況の調査・解析」に関する論文を投稿中であり、審査の結果が届くのを待っている。
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Strategy for Future Research Activity |
「JADERを用いた抗HIV薬に関連する有害事象の発現状況の調査・解析」に関する論文を投稿中であり、審査の結果が届くのを待っている段階である。審査結果に応じて、追加の解析が必要になった場合には対応していく予定である。
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Causes of Carryover |
ほぼ計画通りに使用した。差額が生じた理由として、以下の二点が大きく影響している。①学会は現地とWebのハイブリッド開催となったが、学会発表はWebで行うこととなり、出張費がかからなかった。②論文投稿が当初の予定より遅くなり、現在審査結果を待っている。 投稿中の論文がアクセプトされた場合にはAPC費用(10~20万円程度を想定)がかかるため、その支払いに充てる。
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