2020 Fiscal Year Research-status Report
非結核性抗酸菌分布の地域特異性を共存微生物との関係から解明する
Project/Area Number |
20K18903
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
藤吉 奏 広島大学, 学術・社会連携室, 助教 (20805808)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 住環境 / 細菌群集 / 抗酸菌 / ホームプロバイオティクス / 次世代シーケンサー |
Outline of Annual Research Achievements |
非結核性抗酸菌(NTM)の一部が引き起こす難治性の肺疾患は、ヒト-ヒト感染はなく、主な感染経路はヒト周辺環境に存在する病原性の抗酸菌への暴露と考えられている。これまで、その感染源が浴室環境である可能性が示唆されており、最近実施された全国規模での調査でも約半数の家庭から抗酸菌が検出されている。しかし、罹患率や病原性の抗酸菌種の分布は地域間で大きく異なっている。本申請研究は、「なぜ病原性の抗酸菌種には地域差があるのか」を明らかにするため、国内のシャワー水およびシャワーヘッド中バイオフィルムを収集し、その微生物群集構造、抗酸菌の菌種組成、現存量を調査する。これにより、病原性の抗酸菌種と共起/排除関係にある微生物および地域性を明らかにする。 コロナ渦で県外移動を伴う試料採取が難しい状況ながらも、現在までに北海道5件、近畿4件、関東2件、さらに現代住宅と比較が可能な古民家の試料3件の試料を収集した。加えて水道水試料からNTMを含む微生物の分離培養を開始し、現在までに合計34株を取得している。今後は、採取した試料の真菌、細菌、抗酸菌にそれぞれに特異的なプライマーとリアルタイムPCR装置を用いて現存量を測定するとともに、試料の構成微生物種と構成比を数値化するため、真菌、細菌、抗酸菌に関しては種レベルまで解析するために抗酸菌に特異的な遺伝子配列を増幅し、アンプリコンシーケンス解析する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ渦で県外移動を伴う試料採取が難しい状況ながらも、北海道5件、近畿4件、関東2件、さらに現代住宅と比較が可能な古民家の試料3件の試料を収集することができた。加えて水道水試料から非結核性抗酸菌を含む微生物の分離培養を開始し、現在までに34株を取得した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画通り、採取した試料の真菌(18S rRNA)、細菌(16S rRNA)、抗酸菌(hsp65)にそれぞれに特異的なプライマーとリアルタイムPCR装置を用いて現存量を測定する。加えて、試料の構成微生物種と構成比を数値化するため、真菌(18S rRNA)、細菌(16S rRNA)、抗酸菌に関しては種レベルまで解析するために抗酸菌に特異的な遺伝子配列(hsp65)を増幅し、アンプリコンシーケンス解析する。得られた微生物群集構造のデータをもとに、相関解析やパターン解析を実施する。また、取得した34株の遺伝子配列を取得しNTMおよびNTMとともに取得できた微生物情報と相関解析の結果を比較する。
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Causes of Carryover |
コロナ下の緊急事態発令による大学の出張制限により予定していたサンプリングが実施できなかったため。本年度は、前年度までに得られた試料を用いて、18S, 16S rRNAとNTM特異的なプライマーを用いたシーケンス、定量的PCRを実施する予定である。
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Research Products
(10 results)