2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of highly sensitive analytical methods for degradation products of chemical warfare agents with derivatization reagents
Project/Area Number |
20K18990
|
Research Institution | National Research Institute of Police Science |
Principal Investigator |
大塚 麻衣 科学警察研究所, 法科学第三部, 研究員 (90801580)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 液体クロマトグラフィー質量分析 / 化学剤 / 誘導体化 / 計算化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
神経剤やびらん剤などの化学剤は高い毒性を持つことから、テロや事件で用いられた際には大きな被害をもたらす。このような場面においては、曝露証明のため、被害者の生体試料から化学剤由来の化合物を検出することが必要である。しかし、化学剤本体は反応性が高く検出することは困難であるため、化学剤の分解物を検出することが重要となる。一方で、化学剤分解物は高極性化合物であり、また生体試料中では低濃度であることから分析は困難であった。そこで本研究では、LC-MS/MS 分析に適した誘導体化試薬を選択または合成し、化学剤分解物の誘導体化 LC-MS/MS 分析を行うことを目的とした。 昨年度は、一昨年度に実施したノビチョク類の加水分解反応の計算化学による検討から生成することが予想された加水分解物について、親水性相互作用クロマトグラフィー/質量分析を用いた分析法を開発し、学会発表および論文投稿を行った(日本分析化学会第71年会、Forensic Toxicology, https://doi.org/10.1007/s11419-022-00656-4)。 また、びらん剤であるマスタードガス及び窒素マスタードの分解物について誘導体化 LC-MS/MS 法を開発するべく、一昨年度合成した誘導体化試薬を用いて誘導体化反応の検討を行った。その結果、窒素マスタード分解物については誘導体化体のピークを LC-MS で確認できたものの、マスタードガス分解物については誘導体化体のピークは確認できなかった。 現在、窒素マスタード分解物について誘導体化反応の条件検討や収率計算のための誘導体化体の標品合成などを進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度は、喫緊の課題であった新規神経剤であるノビチョク類関連化合物の分析法として、ノビチョク加水分解物の親水性相互作用クロマトグラフィー/質量分析による分析法を開発し、学会発表および論文投稿を行った。 しかし、上記の研究を優先して進めたことで、新規誘導体化試薬によるびらん剤分解物の誘導体化 LC-MS/MS 分析法の開発の進捗についてやや遅れが生じた。
|
Strategy for Future Research Activity |
来年度はまず、窒素マスタード分解物について誘導体化反応の条件検討や収率計算のための誘導体化体の標品合成などを進め、誘導体化 LC-MS/MS 分析法を確立する。 マスタードガス分解物については合成した誘導体化試薬では誘導体化体の生成が確認できなかったため、より反応性の高い誘導体化試薬の合成を行い、誘導体化反応を検討する。
|
Causes of Carryover |
びらん剤分解物の誘導体化 LC-MS/MS 分析法の開発について、進捗にやや遅れが生じたため、次年度使用額が生じた。来年度、消耗品等の購入費や学会発表のための旅費などとして使用する予定である。
|