2020 Fiscal Year Research-status Report
高齢糖尿病患者が今をより良く生きることを支えるACP対話の促進支援ツールの開発
Project/Area Number |
20K19048
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
大原 裕子 千葉大学, 大学院看護学研究科, 特任准教授 (10782146)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 高齢糖尿病患者 / アドバンスケアプランニング / エンドオブライフ / 意思決定支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は「高齢糖尿病患者が今をより良く生きることを支えるACP対話の促進支援ツールの開発」であり,今年度の研究計画は1)高齢糖尿病患者を対象とした、ACPについての実態調査,および2)慢性疾患患者へのACPの実践と対話に関する文献検討、であった。2)の文献検討において、慢性疾患患者全般におけるACPに関する論文をレビューしたところ、ACPを実践したという対象患者の多くは、終末期や予後がある程度見通せる段階にあったり、予後にかかわる治療選択を迫られる病期や既に看取り期にある患者とその家族であり、ACPという言葉の使われ方が多様であることがわかった。ACPは本来、事前に予め行われるものであり、医療処置の選択だけではない、患者自身の価値観や生きる目標を大切にした患者の意思に関する話し合いのプロセスである。そのため、このACPの考え方に基づき、本研究で想定している終末期に至る前の段階にある、比較的身体状態が安定している高齢糖尿病患者に適用可能かどうかを吟味しながら、「高齢糖尿病患者とのACP対話を促進する看護援助」について検討することとした。また、論文だけでなく、ACPに関する各種ガイドラインや既存のパンフレット類なども広く情報収集し検討することとした。その結果、本研究で検討している高齢糖尿病患者とのACP対話は、高齢糖尿病患者へのセルフケア支援の一部として組み込めるものではないかと考えられた。このことは、患者と自然な形でACP対話をするのは容易ではないという臨床現場において、高齢糖尿病患者のセルフケアも促進できるようなツールとしての意味をもたせることによって、ACP対話を導入しやすくできるのではないかという着想につながった。なお、看護師に対する看護援助支援ツールでありつつ患者自身と共有できるツールとして検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究の第一段階として設定していた「高齢糖尿病患者を対象とした、ACPについての実態調査」は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響で予定していた医療機関での実施が困難であったため実現せず、そのことをきっかけに研究の全体的な計画修正を検討した。また、文献検討から看護援助内容はほぼ抽出されたが、1)の調査ができないことを踏まえると、より広く情報を収集する必要があるため、まだ看護援助内容の抽出が十分とはいえない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も新型コロナウイルス感染症の影響は続くと思われるため、1)の高齢糖尿病患者を対象としたインタビューによる実態調査を変更し、引き続き文献検討や情報収集を続け、ツールに反映させる看護援助内容を確定させる。来年度は、計画通り、この看護援助内容と「共有」の要素を構成の軸としてツールの試案を作成し、糖尿病看護の専門家による評価をおこないツールを完成させる。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響により、実態調査に必要な費用や学会出張等の費用が未使用となり残額となった。また、調査や情報収集等で持ち運びのために購入予定であったノート型パソコンやソフト等の購入を次年度に持ち越すこととした。
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