2023 Fiscal Year Research-status Report
養護教諭養成段階における自閉スペクトラム症児への対応能力育成に関する研究
Project/Area Number |
20K19172
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
山崎 智子 広島大学, 医系科学研究科(保), 助教 (20512510)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 養護教諭 / 発達障害 / 神経発達症 / 児童生徒 / 教育プログラム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、自閉スペクトラム症を含む発達に特性のある児童生徒への対応内容を明らかにし、養護教諭養成段階における、養護教諭の対応能力育成のための教育プログラム開発の基礎的な資料を得ることである。 インタビューガイドを作成し、養護教諭へのインタビュー調査を対面およびオンラインにて実施した。得られた音声データを質的内容分析を用いて分析し、6個のカテゴリー、23個のサブカテゴリーが得られ、養護教諭の発達障害児への対応内容が明らかになった。養護教諭は様々な場面で、児童生徒の特性や自身の職務を考慮して関わっていた。感覚過敏やこだわり、コントロールが困難なパニックなどの【特性に起因する困り事が軽減するよう支える】、健康診断の受け方の事前指導や救急処置時に【問診と指導を工夫して健康状態を把握する】、他の子どもとの関係づくりを促進するとともに、児童生徒のソーシャルスキルと自己肯定感を高めることを意識して【学校生活への適応を進めるため個の発達を促す】、初めての事が苦手な児童生徒のために、普段からコミュニケーションをとったり話しかけやすい雰囲気づくりをしたりして【児童生徒が安心して関われる存在になる】、主訴を表現するのが苦手な児童生徒もいるため【表面化しにくい児童生徒の背景を理解する】、保護者や教職員間で情報を共有し対応方針について多職種で検討し【連携して一貫性のある対応をする】の6個のカテゴリーが抽出された。養護教諭は児童生徒に寄り添い、これらの対応を日常の業務の中で取り入れていることが明らかとなった。現在調査結果をまとめて、学会紙に投稿中である。今後は、本研究で得られた結果や先行研究をもとに、質問紙調査を実施予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍において調査が滞ったため、インタビュー調査の実施時期が遅れ、質問紙調査の実施を次年度に延期したため。
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Strategy for Future Research Activity |
インタビュー調査で明らかになった項目案を用いて、全国の無作為抽出した現職の養護教諭に質問紙調査を行い、養護教諭の対応の構造を明らかにする。調査内容は、具体的対応を示す項目と基本属性、経験年数、校種、特別支援教育コーディネーターの経験、発達障害等特別支援教育関連の講義や演習の受講経験、自閉スペクトラム症などの知識である。具体的対応の各項目の項目分析および因子分析を行うとともに、属性等の調査項目の関連性を分析し、養護教諭の対応の構造を明らかにする。
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Causes of Carryover |
コロナ禍によりインタビュー調査が遅れ、それに伴い質問紙調査が次年度にずれこんだため。
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