2021 Fiscal Year Research-status Report
フィリピンの地域在住中高年者における糖尿病予防教育プログラムの開発と有用性の検証
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20K19273
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
山口 裕子 神戸大学, 保健学研究科, 助教 (30782148)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 生活習慣病 / フィリピン / 地域 / 予防行動 / ヘルスボランティア |
Outline of Annual Research Achievements |
急激な社会的・経済的成長に伴う生活習慣の変容により、フィリピンにおける生活習慣病は増加の一途を辿っており、その対策は喫緊の課題である。2020年度までの研究では、フィリピン人の塩分過多の食生活やメリエンダ(フィリピン特有の間食文化)が高血圧や肥満を引き起こしていることが明らかとなり、フィリピンにおける生活習慣病予防には、フィリピンの文化や生活に根ざした支援を行うこと、限られた医療・社会資源の中でも運用可能な予防策を構築することが有効であることが示唆された。 ユニバーサルヘルスカバレッジ(UHC)の達成に必要な4つの視点としてAccessibility・Affordability・Availability・Acceptabilityが掲げられている。フィリピンにおける生活習慣病の増加を食い止めるためにもUHCの概念に基づいた衡平な予防策の構築が重要であるが、フィリピンの保健システムを整備する上で保健医療人材の不足が課題である。そこで、我々は地域で活動するヘルスボランティア(BHW)の存在に着目した。その活動は住民の健康に関する情報提供や生活習慣病予防のためのエクササイズ等、地域全体の健康の維持・増進に寄与していた。しかしその一方で、BHWは生活習慣病予防について学ぶ機会が非常に少ないことがこれまでのフィールド調査から明らかとなった。 そこで、2021年度は①BHWの生活習慣病予防に対する意識や活動・役割について、②フィリピン地域在住中高齢者の生活習慣病予防行動に影響する阻害・促進要因について明らかにすることを目的にBHWへインタビュー調査を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の影響により調査開始時期に遅れが生じたため。
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Strategy for Future Research Activity |
BHWへのインタビュー調査から得られたデータを質的記述的に分析し、BHWの生活習慣病予防に関する知識や実践、生活環境、保健・医療サービス・地域特性について解明する。さらに、抽出された課題をユニバーサルヘルスカバレッジの4つの視点(Acceptability, Affordability, Availability, Acceptability)から評価し、生活習慣病予防に向けてBHWが運用可能な支援策を検討する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響で調査や研究打ち合わせのためにフィリピンへ渡航することができず、そのための旅費の支出ができなかった。また、参加学会がすべて遠隔開催になったため、研究成果発表のための旅費を計上する必要がなくなった。次年度は、新型コロナ感染症の状況を鑑みながら現地調査のための渡航費及び調査補助のための人件費に充てることとしたい。
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