2022 Fiscal Year Research-status Report
フィリピンの地域在住中高年者における糖尿病予防教育プログラムの開発と有用性の検証
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20K19273
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
山口 裕子 神戸大学, 保健学研究科, 助教 (30782148)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 生活習慣病 / フィリピン / 地域 / 予防行動 / ヘルスボランティア |
Outline of Annual Research Achievements |
急激な社会・経済成長に伴う生活習慣の変容により、フィリピンにおける生活習慣病の蔓延は増加の一途を辿っており、その対策は喫緊の課題である。我々はこれまでの研究成果より、フィリピン独自の文化や生活に根差した支援を行うこと、限られた医療・社会資源の中でも運用可能な予防策を講じることが必要であることを明らかにしてきた。 ユニバーサルヘルスカバレッジ(UHC)の達成に必要な4つの視点としてAccessibility・Affordability・Availability・Acceptabilityが掲げられている。フィリピンにおける生活習慣病の増加を食い止めるためにはUHCの概念に基づいた衡平な予防策の構築が重要であることは先行研究より報告されているが、その一方で、フィリピンの保健システムを整備する上で保健医療人材の不足が課題であることがこれまでの研究成果より示唆された。フィリピンは早くから保健ボランティアの活用に取り組んできた国の1つであり、1981年よりフィリピン政府のプライマリーヘルスケア政策に沿ってコミュニティヘルスワーカー(バランガイヘルスワーカー;BHWs)の育成が行われてきた。これらの背景を踏まえ、2022年度は生活習慣病予防におけるBHWsの役割に着目し、9つのバランガイで活動する25名のBHWsを対象にインタビュー調査を行った。具体的には、生活習慣病予防に関するBHWsの役割と課題についてユニバーサルヘルスカバレッジの4つの視点を用いた半構造化面接を実施し、質的記述的に分析を行った。その成果については、現在論文投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の影響により調査スケジュールに遅れが生じたため。
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Strategy for Future Research Activity |
BHWへのインタビューデータを質的記述的に分析した結果について論文執筆中であり、国際雑誌へ投稿準備を進めている。さらに、調査結果より明らかとなった課題を踏まえ、フィリピンの保健医療専門職者とディスカッションしながら生活習慣病予防に向けてBHWが運用可能な支援策を構築していく予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響で調査や研究打ち合わせのためにフィリピンへ渡航することができず、そのための旅費の支出ができなかった。また、国際会議がすべて遠隔開催になったため、研究成果発表のための旅費を計上する必要がなくなった。次年度は、新型コロナ感染症の状況を鑑みながら現地調査のための渡航費及び調査補助のための人件費に充てる予定である。
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