2020 Fiscal Year Research-status Report
在宅高齢者の呼吸器悪液質を予防する介入プログラム開発のための基礎的研究
Project/Area Number |
20K19280
|
Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
毛利 貴子 京都府立医科大学, 医学部, 准教授 (90438218)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 在宅高齢者 / 慢性閉塞性肺疾患 / 呼吸器悪液質 / 訪問看護師 / 外来看護師 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初の研究計画では、令和2年度に慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者への調査、令和3年度に看護師への調査を立案していたが、covid-19による影響を考慮して令和2年度に看護師への調査を実施した。 訪問看護師と外来看護師を対象に、COPD患者を看護する看護師の悪液質についての知識、実践している観察・ケア・指導の内容を明らかにすることを目的とし、質問紙調査とインタビュー調査を実施した。研究への参加に同意を得られたのは、外来看護師3名(平均年齢44.7歳)、訪問看護師17名(平均年齢44.4歳)であった。 「COPD患者の悪液質についての知識」では、「よく知っている」「知っている」が最も多かったのは「COPD患者は病状の進行とともに体重が減少する」「COPD患者の体重減少は予後に影響する」が共に17名(85%)であり、「まったく知らない」「あまり知らない」が最も多かったのは「呼吸器悪液質または悪液質という言葉」12名(60%)であった。「COPD患者の悪液質に関する観察(評価)」では、「呼吸器症状」は全員が、「食事摂取量」は18名(90%)が「毎回行う」「時々行う」と回答した。「COPD患者とその家族への悪液質予防・対処に関する支援」では、「毎回行う」「時々行う」で最も多かったのが「禁煙の継続」15名(75%)であった。「炭酸飲料やガスを産生する食材を避ける」は「まったく行わない」「あまり行わない」項目で6名(30%)と最も多かった。 体重減少や食欲不振時に実施している支援では、「栄養補助食品を勧める」「食事のタイミングや嗜好を個々に見計らって摂取を促す」「呼吸リハビリテーションを行い呼吸状態を安定させる」などがあった。 呼吸器悪液質について看護師がもっている知識や具体的な支援内容を明らかにするために、引き続きデータ収集を行う予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
遅れている理由は、研究対象者側と研究者側それぞれにある。 まずは研究対象者について述べる。本研究は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)という慢性呼吸器疾患をもつ高齢者およびその看護にあたる看護師を対象として計画したものである。令和2年冬からcovid-19新型肺炎の流行が始まったことにより、高齢や基礎疾患というハイリスクを有する患者やその看護にあたる看護師への接触が容易ではなくなり、研究方法の見直しや開始のタイミングを慎重に検討する必要があった。検討の結果、研究スケジュールを変更し令和2年度は看護師を対象に調査を行うこととした。また、対面でのインタビュー調査はzoomを用いたオンラインでのインタビュー調査に変更して実施した。しかし、外来看護師も訪問看護師も多忙を極めており、調査協力が十分に得られていない現状がある。 次に、研究者について述べる。令和2年度は大学での講義・実習等の教育体制に変更が相次ぎその対応に追われ、研究への着手が遅れたことが原因として考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の予定では、令和3年度はCOPD患者への調査を行うこととなっている。感染リスクの高い対象者であるため、計画している対面での調査は困難であると考えられる。在宅療養中の患者においては介護している家族への調査に変更する、外来通院中の患者においては外来看護師から調査を依頼してもらうなど、研究計画の見直しを行う必要がある。感染拡大をもたらさないよう最大限の配慮をし、実現可能性の高い研究方法を構築する。また、看護師への調査は継続し、より多くのデータを得られるよう尽力したい。
|
Causes of Carryover |
看護師を対象にした調査で依頼やインタビュー調査に赴く交通費が不要となったこと、国内学会・国際学会への参加が不可能になり、旅費や学会参加費が不要となったことから、大幅に支出が減少した。 次年度は患者を対象にした調査を開始するため、謝金や交通費等に予算を使用する。また、論文投稿の準備として英文校正費や投稿費に使用する予定である。
|