2021 Fiscal Year Research-status Report
在宅高齢者の呼吸器悪液質を予防する介入プログラム開発のための基礎的研究
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20K19280
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
毛利 貴子 京都府立医科大学, 医学部, 准教授 (90438218)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 在宅高齢者 / 慢性閉塞性肺疾患 / 呼吸器悪液質 / 訪問看護師 / 外来看護師 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、在宅療養中のCOPD患者のケアにあたる看護師の悪液質に対する知識、観察・ケア、指導内容の実態を明らかにすることを目的として実施した。 2020年11月~2021年6月、在宅もしくは病院外来部門にて在宅酸素療法をしているCOPD患者へのケアを実践している看護師を対象にした。調査内容は、1)属性2)悪液質についての知識、評価、支援について、知っている程度や観察・助言する頻度3)患者や家族から受けた体重減少についての相談と対応であった。 訪問看護師21名、外来看護師5名を分析対象とした。悪液質についての知識では、「悪液質という言葉」を「まったく知らない」「あまり知らない」と回答した人が57.7%であったが、「COPD患者は病状の進行と共に体重減少が生じる」では19.2%が「よく知っている」と回答し、「現在の体重の質問または測定」は「毎回行う」「時々行う」合わせて76.9%が行っていた。他に観察・評価で「毎回行う」「時々行う」が多かった項目は、「食事摂取量の観察」88.4%等であり、観察が最も少なかったのは「栄養補助剤の利用」7.6%であった。支援では、「毎回行う」「時々行う」で最も多かった項目が「禁煙する」76.9%で、「まったく行わない」「あまり行わない」回答が多かった項目が「炭酸飲料やガスを発生させる食材を避ける」「塩分摂取を控える」各26.9%であった。「患者や家族から体重減少についての相談を受けたことがあるか」には、14人(53.8%)があると答えた。 本調査の結果から、悪液質という病態生理や具体的な観察項目、食行動への支援についての理解にばらつきがあることが明らかになった。高齢のCOPD患者が栄養状態を良好に保つことは、身体活動性の維持や息切れ緩和、心不全予防のためにも重要である。早期の食行動の観察・支援に向けて、看護師への働きかけが必要であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当該研究課題は、看護師を対象とした実態調査(研究1)と患者を対象とした実態調査(研究2)で構成されている。現在、研究1においては看護師26名を対象にした質問紙調査を終え、結果を分析し、発表の準備をしている段階である。研究2では、外来通院中の慢性閉塞性肺疾患患者に質問紙調査、身体測定、歩数測定等を行う計画を立案している。所属機関の倫理審査委員会の承認を得て、大学病院と地域医療機関にて対象者のリクルートを行っているが、現在1名の調査が終了したのみである。 滞っている理由は、令和4年4月より所属講座の教員が退職し、1名欠員の状態で講義、実習、各種委員会業務等を行っており、データ収集のため学外に出かける時間的余裕がないことと、コロナ禍の影響が長引いており外来患者の減少や調査への協力困難な状態が続いていることが挙げられる。大学が夏季休暇に入る7月~9月にかけて、できる範囲でデータ収集を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、外来通院中の慢性閉塞性肺疾患患者に対する実態調査を行う予定である。所属機関の倫理審査承認を得て、大学病院、地域医療機関での研究協力者との打ち合わせは進んでおり、対象がリクルートされ次第調査を行うことができる。 しかし、人員不足の中での新学期スタートであるため、実働できるのは7月以降を見込んでいる。新型コロナウィルス感染症の流行状況を鑑み、感染拡大をもたらさないよう最大限の配慮をした上で調査を進めていきたい。
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Causes of Carryover |
前年度は看護師を対象にした調査で依頼やインタビュー調査に赴く交通費が不要となったこと、国内学会・国際学会への参加が不可能になり、旅費や学会参加費が不要となったことから、大幅に支出が減少した。今年度は結果報告のため学会に参加する予定であり、予算を計上した。 今年度は患者を対象にした調査を開始するため、謝金や交通費等に予算を使用する。また、論文投稿の準備として英文校正費や投稿費に使用する予定である。
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