2020 Fiscal Year Research-status Report
訪問看護師が主導する慢性疾患患者の在宅エンドオブライフケアプログラムの開発
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20K19288
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Research Institution | Tokyo University of Technology |
Principal Investigator |
浅海 くるみ 東京工科大学, 医療保健学部, 助教 (90735367)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 訪問看護師 / 慢性疾患患者 / エンドオブライフケア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、訪問看護師が主導する慢性疾患患者の在宅エンドオブライフケアプログラムの開発を目的としている。初年度である令和2年度は、訪問看護師を対象としたインタビュー調査を計画し、倫理審査委員会で承認を得た後、調査を実施した(第1段階)。インタビューの内容は、終末期にあるがん疾患および非がん疾患(重度の認知症を除く)の在宅療養者と家族に対する、訪問看護師の具体的な実践内容および実践上の困難とした。 結果、現在まで関東近郊の指定訪問看護ステーションに在籍する17名の訪問看護師へのインタビュー調査を終えた。現在、インタビューデータの分析途中であるが、訪問看護師の終末期ケアの中心として「人生の最終段階の医療・ケアの話し合い」が挙げられると考えられ、本研究課題で開発する在宅エンドオブライフケアプログラムの中核的要素に据えることが妥当と思われた。さらにインタビューデータの現時点での分析結果を概観すると、【療養の場が移行するとき】【医療者が治療・ケアを再検討するとき】【療養者の予後が短いと予測されるとき】【家族の心身の負担が増強したとき】【療養者の心身の機能が著しく低下したとき】【在宅療養の体制を強化する必要があるとき】などのタイミングを軸に、訪問看護師は、がん疾患・非がん疾患(重度の認知症を除く)の在宅療養者および家族に対する「人生の最終段階の医療・ケアの話し合い」を開始していることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
COVID-19の影響により、インタビュー調査の方法を対面からオンライン面談に変更したことで、予定通りに調査を実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究は、第1段階のインタビュー調査の内容を基に「人生の最終段階の医療・ケアの話し合い」のタイミングを同定するための尺度を作成し、その信頼性・妥当性を検討することである(第2段階)。具体的な手順は、(1)尺度の質問項目の作成、(2)質問項目の内容的妥当性を検討するための専門家会議、(3)予備調査(便宜的に抽出した訪問看護師を対象とした郵送法による自記式質問紙調査であり目標症例数は100)、(4)本調査(無作為に抽出した訪問看護師を対象とした郵送法による自記式質問紙調査であり、目標症例数は300)である。なお、倫理的配慮として、予備調査および本調査ともに、調査の実施にあたり、対象となる訪問看護ステーションの管理者に、研究の趣旨を文章で説明し同意を得ることとした。そして、訪問看護ステーションの管理者を通して、対象者へ研究の目的および方法、研究協力の自由、匿名性の確保、研究結果の公表について説明した書面を配布いただくようにする。さらに、調査の所要時間は10~15分以内とし、対象者の身体的・心理的負担が過度にならないよう配慮することで、研究を遂行する。現在、倫理審査委員会を通過し、専門家調査に着手するところである。 以上のことから、インタビュー調査(第1段階)の内容をもとに、訪問看護師による在宅療養者への「人生の最終段階の医療・ケアの話し合い」のタイミング評価尺度の作成(第2段階)に進み、本研究課題の最終目標である「在宅エンドオブライフケアプログラム」の開発を目指す。
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Causes of Carryover |
令和2年度は、COVID-19の影響により、国内外の学会がオンラインで実施されたことから、旅費の使用がなかったため、次年度使用額が生じた。 令和3年度は、令和2年度の未使用額と令和3年度の使用額を併せて、「人生の最終段階の医療・ケアの話し合い」のタイミング評価尺度の開発(第2段階)における研究参加者への謝礼、データ解析ソフトの購入、国内外の学会での発表における参加費等に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)