2021 Fiscal Year Research-status Report
訪問看護師が主導する慢性疾患患者の在宅エンドオブライフケアプログラムの開発
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20K19288
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Research Institution | Tokyo University of Technology |
Principal Investigator |
浅海 くるみ 東京工科大学, 医療保健学部, 助教 (90735367)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 訪問看護師 / 慢性疾患患者 / エンドオブライフケア / 人生の最終段階の医療・ケアの話し合い |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、訪問看護師が主導する慢性疾患患者の在宅エンドオブライフケアプログラムの開発を目的としており、以下の手順で進めている。 第1段階は、訪問看護師を対象としたインタビュー調査により、人生の最終段階にあるがん疾患および非がん疾患の在宅療養者と家族に対する訪問看護師の支援内容および実践上の困難を明らかにすることとした。第2段階は、インタビュー調査の結果から、がん疾患および非がん疾患の在宅療養者と家族を対象に訪問看護師が「人生の最終段階の医療・ケアの話し合い」を実施するタイミングを評価するための尺度を作成することである。なお第2段階は、倫理審査を受けた後、予備調査および本調査を経て、尺度の信頼性と妥当性を検討する。 第1段階の結果、23名の訪問看護師へのインタビュー調査を終えた。分析の結果、「在宅ケアが開始されるとき」「病状の進行により治療方法を再検討するとき」「家族の不安や負担が増強したとき」「療養者の思いを聴き取る必要があるとき」「心身の機能の低下により治療・ケア方法を再検討するとき」「家族が在宅ケアに十分対応できないとき」の6つの下位概念が導かれた。 第2段階は、インタビュー調査の結果から、全28項目からなる「人生の最終段階の医療・ケアの話し合い」を実施するタイミングを導いた。さらに関連する国内外の文献検討の結果、6項目を追加し、合計34項目のアイテムプールが得られた。さらに尺度の内容的妥当性を検討するため、研究の同意が得られた訪問看護師と専門分野の研究者5名に、専門的立場からの助言を依頼し、検討を重ねた。最終的に、質問項目のうち8項目の表現を修正し、9項目を追加し、見解の一致をもって訪問看護師の「人生の最終段階の医療・ケアの話し合い」のタイミング評価尺度(原案)は43項目となった。この43項目について予備調査を実施している途中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第1段階のインタビュー調査は、COVID-19の感染拡大によって対面調査からオンライン調査へ切り替えたことで、予定通り進めることができた。また第2段階では、尺度の内容的妥当性の検証のための「専門家の意見聴取」においても、対面での話し合いではなく、オンラインや紙面上で意見を聴取するなどの工夫により、予定通り進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
第2段階の予備調査および本調査を進め、「訪問看護師による人生の最終段階の医療・ケアの話し合いのタイミング評価尺度」の信頼性・妥当性の検証を実施する予定である。具体的な手順は、(1)予備調査(便宜的に抽出した訪問看護師を対象とした郵送法による自記式質問紙調査であり目標症例数は100)、(2)本調査(無作為に抽出した訪問看護師を対象とした郵送法による自記式質問紙調査であり、目標症例数は300)の手順で実施する。予備調査の目的は、尺度項目の精錬であり、本調査の目的は、精錬された尺度項目の信頼性と妥当性の検証である。
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Causes of Carryover |
令和3年度は、COVID-19の感染拡大により、オンライン開催による学会参加が主であり、旅費の使用がなかった。また令和3年度は、データ収集および分析を主に進めており、論文執筆段階であったことから、投稿費を使用することがなかった。令和4年度は、既に対面開催による学会に参加する予定があること(サイコオンコロジー学会等)、また第1段階の結果に関する論文執筆を進め、英文校正および学術雑誌への投稿に関する費用、第2段階の調査における通信費や印刷費等に、令和3年度の未使用額と令和4年度分を合わせて使用する予定である。
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