2020 Fiscal Year Research-status Report
脳血管疾患に対する新規予防アプローチの確立に関する研究
Project/Area Number |
20K19312
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
大塚 章太郎 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 特任助教 (80849901)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | リハビリテーション / RIPC / 神経保護効果 / 内在性保護因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳梗塞に対する神経保護効果の獲得を目的とした遠隔虚血プレコンディショニング(Remote limb ischemic preconditioning: RIPC)の介入方法の検討を行った。実験動物であるラットの尻尾に無麻酔下で加圧カフを巻き駆血と解放を行った。RIPC介入群(10匹)と非介入群(10匹)の2群に分けてRIPC介入群は脳梗塞を作成する前から7日間連続で介入した。介入後に脳梗塞を作成した。脳梗塞は、塞栓糸を用いて左中大脳動脈に挿入し、60分の閉塞を行った後に再灌流した。RIPC介入群と非介入群では、脳梗塞体積に有意な差は見られなかった。 これまで少ない匹数での介入では、脳梗塞体積の減少が見られていたが、数を増加すると尻尾でのRIPCの効果は見られなかった。 そこで、RIPCの介入方法について再度検討を行った。加圧カフを巻く位置を尻尾から両大腿部に変更し、RIPCの駆血と解放のそれぞれの時間についても詳細な検討を行った。駆血5分解放5分の4セット群、駆血10分解放10分の3セット群、非介入群に群分けを行った。脳梗塞作成中の脳虚血を行っている間にRIPCを行った。結果として、非介入群と比べて駆血10分解放10分群で有意な脳梗塞体積の縮小、神経障害や運動機能障害の軽減が図れた。駆血時間に関しては、10分を5分に変更しても脳梗塞体積縮小効果は得られた。RIPCによる神経保護因子の発現増加を確認するために、脳の組織採取を行い免疫染色とウェスタンブロット法によるタンパクの発現増加を調べた。RIPCを行うことによって脳由来神経栄養因子であるBDNFの発現量の増加が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
脳梗塞に対するRIPCの研究では、無麻酔下で尻尾に加圧カフを巻いて介入を行った。 7日間の介入を行ったあとに脳梗塞を作成し、RIPCによる神経保護効果の検証した。予備実験として少ない匹数で実験を行った際には、脳梗塞体積の有意な減少が見られたが、実験動物の匹数を増やして介入群と非介入群で10匹づつ介入を行うと脳梗塞体積の減少の有意な差はなくなった。そのため、RIPCの介入方法を再度検討する必要性があり、予防的な介入が出来ていない状態である。そのため、予定していた研究目標まで到達していない。
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Strategy for Future Research Activity |
RIPCの介入方法の確立 RIPCの重要なポイントである駆血時間と解放時間の設定を行い、神経保護効果が獲得できる介入方法を確立し、神経保護効果獲得のメカニズムを調べる。RIPC介入方法の確立後に、当初の研究目的である脳梗塞に対する新規予防になりえるかどうかを検討する。
脳梗塞に対するRIPCによる予防的な介入 実験動物はラットを使用し、大腿部に加圧カフを巻いて麻酔下での実験を行う。7日間連続でのRIPCの介入を行い、脳梗塞は、塞栓糸を用いて左中大脳動脈に挿入し、60分の閉塞後に再灌流を行う。脳梗塞後に神経学的、行動学的評価を行い、安楽死をさせた後に脳組織を採取して、形態学的評価、免疫染色、ウエスタンブッロト法を実施する予定である。
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Research Products
(2 results)