2021 Fiscal Year Research-status Report
健康寿命の延伸に向けた人工知能による動作解析と運動器障害発生予測システムの構築
Project/Area Number |
20K19317
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Research Institution | Hokkaido University of Science |
Principal Investigator |
井野 拓実 北海道科学大学, 保健医療学部, 助教 (70736339)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 動作解析 / 人工知能 / AI / ディープラーニング / 運動器障害 / スポーツ外傷と障害 / 予防 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトの運動分析はスポーツ外傷、更には運動器障害の発症、進行リスクを予見する機能評価として現在まで多くの研究がなされてきた。しかしながら、本法の実践のためにはその計測、解析に多くの人的労力、さらには複数の特殊な赤外線カメラシステムから構築される計測装置等に高額なコストが必須であり、広く社会に普及するには至っていない。近年、情報工学分野で発展の目覚しい人工知能(AI)のdeep learningによるパターン認識技術は、一般的なビデオ映像からヒトの分析点を見出すことが可能なところまで認識精度が向上している。この技術を運動分析に応用することで現在まで解決できなかった、動作解析に伴う人的労力やコストの問題を解決し得る。即ち一般的なビデオ映像を用いた動作解析方法を確立できると考えられる。現在までAIによる動作解析技術(AI解析)を臨床応用可能な段階まで進めることができた。具体的には、従来の三次元動作解析システムとの比較により妥当性を検証し、精度や技術的な問題点を明らかにした。また今後、本知見を国際誌に発表し、社会的なコンセンサスを得ることを目指し、現在論文発表準備を進めている。本論文では、様々な動作を「AI解析」、「ヒトの視覚的同定を数値化することによる解析」、「三次元動作解析(光学式モーションキャプチャ)」にて計測・比較検討し、kinematicsデータの差異、相関について報告する予定である。 2021年度の目標として、技術的問題を解決するためサンプリング周波数、動画編集、デジタルフィルター、関節座標系計算、その他の各種データ処理方法を確立し、広く臨床家が使用できるソフトウェアの開発を目指した。この結果、臨床家が使用しやすいユーザインターフェースの構築に成功し、現在ソフトウェアが稼働できる状態となった。 今後本技術の社会実装を目指し、データの蓄積や臨床応用へと進む予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究および開発は予定通りに進行している。 今後、臨床応用や社会実装を目指すが、新型コロナウイルス感染症の影響により、対人活動の制限をうける可能性がある。出来るだけ早期に進めていければと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
前述のごとく、本研究により開発した、解析技術かつユーザーを支援するソフトウェアを用い、臨床応用と社会実装を目指す。本研究の協力者を募るため、各地へ出向く必要がある。まずは医療機関やスポーツ現場でのデータ収集と分析を目指す。 第一段階として、健常データの収集を実施する。これは可能な限り幅広い年代を対象にする必要があり、年間をとおして活動する必要がある。第二段階として、症例を対象としたデータ収集を行う。これらのデータを蓄積し、その分析結果を今後の疾病・障害予測システムの開発に応用する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症のため、一部のフィールド研究やデータ計測が制限されたため生じた。しかしながら、データの蓄積の主体となる年は2022年度であるため、十分に修正可能な計画の範囲内である。
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