2020 Fiscal Year Research-status Report
脳卒中片麻痺者の歩行阻害因子判別および介入方法選択支援プログラムの開発
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20K19361
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
松田 文浩 藤田医科大学, 保健学研究科, 講師 (30646998)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 脳卒中 / 片麻痺 / 歩行 / 定量的 / 評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,歩行困難な患者に対して,立位課題を用い歩行時に求められる機能を定量的に評価する方法を開発し,歩行阻害因子の自動判別と歩行獲得に向けた介入を支援するプログラムを作成することを主な目的としている.本研究の成果によって,歩行を妨げる要因を特定し,歩行獲得に向けて効率的に介入することが可能となる.その結果として,従来よりも短期間で歩行障害を改善させることができ,多くの患者のQuality of Lifeを向上させるとともに,介護者の負担軽減に貢献できる可能性がある.本研究における評価方法は,立位姿勢で一側ずつ足を挙上させる等の課題の分析から,足の挙上,体重支持,重心移動といった歩行に求められる機能をそれぞれ指標値として算出し,どの機能がどの程度障害されているかを定量化するものである. 令和2年度は,各指標値における歩行可能・不可能の境界を明らかにするための検討を予定していたが,その検討過程において,対象および方法を一部見直す必要が生じたため,検討の順序を変更し,当初令和3年度に予定していた短下肢装具および手すりの影響についての検討を先に行うこととした.まず,短下肢装具の効果を明確にして臨床における有用性を高めるため,麻痺側遊脚機能の指標値として採用している下肢短縮量を膝関節成分と足関節成分に分けて算出することを検討した.三次元動作分析装置を用いた歩行分析にて用いられている方法を基に算出方法を検討し,歩行分析と同様の指標値を算出できることを確認した.これにより,歩行を阻害している要因をより具体的に評価することが可能となる.また,各指標値に対する手すりの影響について,手すりの有無による指標値の変化を基に検討した.その結果,主に麻痺側立脚機能を表す指標値に影響することが明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,歩行困難な患者に対して立位課題による客観的評価を行い,歩行を阻害している要因を明らかにする必要がある.よって,その指標値は歩行機能と関連があり,かつ歩行可能・不可能の判別を可能とするものであることが求められる.また,歩行能力が低い患者は,課題遂行のために装具,手すり等を必要とする場合が多いため,それらが指標値に及ぼす影響を明らかにしておく必要がある.当初の計画では,令和2年度に,歩行困難な患者からデータを取得して各指標値における歩行可能・不可能の境界を明らかにするための検討を行い,令和3年度に,短下肢装具および手すりの影響についての検討を行うこととしていた.検討の過程において,対象および方法を一部見直す必要が生じたため,検討の順序を変更することとなったが,令和3年度に計画していた短下肢装具および手すりの影響についての検討を前倒しして実施することができたため,全体としては「おおむね順調に伸展している」に該当すると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
今後2年間の研究によって,脳卒中片麻痺者を対象とした歩行阻害因子の定量的評価と歩行獲得に向けた介入を支援するプログラムの作成を実現したいと考えている. 令和3年度は,歩行困難な患者を対象とした計測を中心に行い,各指標値における歩行可能・不可能の境界を明らかにするための検討を進める予定である.必要に応じて指標値の修正を行い,患者の機能をより正確に評価できるようにする.また,令和2年度に検討した麻痺側遊脚機能を表す指標値である下肢短縮量の膝関節成分,足関節成分についても,三次元歩行分析の結果と照合するなどの検証を行う. 令和4年度については,歩行阻害因子の自動判別と歩行獲得に向けた介入を支援するプログラムを開発する.歩行に介助を要する脳卒中片麻痺者を対象とし,それまでの研究結果に基づいて,歩行阻害因子の自動判別と歩行獲得に向けた介入を支援するプログラムを作成する.各対象者の初回評価時にプログラムを使用し,判別された歩行阻害因子およびその指標値を定期的に観察し,回復過程において境界値を上回った時点で介助なしの歩行が可能となることを確認する.歩行阻害因子の判別に問題がある場合は,指標の境界値もしくはプログラムを修正し,自動判別の精度を向上させる.
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Causes of Carryover |
令和2年度に三次元動作分析装置の購入を予定していたが,大学内において他の研究者と共同利用することが可能となった.そのため装置全体の購入が不要となり,追加カメラセットのみの購入となったことから,次年度使用額が発生した. 令和3年度は,繰越金を含めた助成金により,本研究に使用している計測用備品のうち動作不安定なPCの修理もしくは買い替えを計画している.また,コロナ禍における研究遂行のため,研究協力者とのオンライン会議や動画配信を目的としたカメラやマイク付きヘッドホン,PC,タブレット端末などの備品の購入を計画している.その他,旅費や論文校正費用等に使用する予定である.
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Research Products
(1 results)