2022 Fiscal Year Research-status Report
骨格筋質の評価による早期変形性膝関節症の検出方法の確立
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20K19376
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
谷口 匡史 京都大学, 医学研究科, 助教 (00827701)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 早期変形性膝関節症 / 筋質低下 / 筋内脂肪 / 内側広筋 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度には、2020年度に実施した地域在住高齢者を対象に再調査を行い、縦断計測データの取得を行った。3TのMRI装置を利用し、大腿部および膝関節について、T1強調像および2point-Dixon法により画像情報を取得した。T1強調像により大腿四頭筋各筋の筋量、Dixon法により各筋の筋内脂肪割合を算出した。また、膝関節軟骨に対するT2マッピングを行い、T2緩和時間を取得した。その他、超音波法による筋厚や筋輝度の評価、筋力や歩行速度といった身体機能の評価を実施しており、現在、計測済みデータの分析を進めている状況である。これまでに早期膝OAの筋変性について縦断分析を行った先行研究は見当たらず、取得したデータは貴重な情報を有することが期待される。今後、この縦断分析により、早期膝OA進行に関与する因子の特定を目指している。 また、2021年度の成果として、早期膝OAにおける筋変性は、内側広筋の筋内脂肪浸潤によって特徴づけられることを明らかにした。この副次的な成果として、MRI-Dixon法で計測した内側広筋の筋内脂肪は、筋内脂肪浸潤の代替法とされる超音波法により計測した筋輝度と有意に相関すること、および内側広筋の筋輝度測定は臥位よりも座位での計測により高い精度で評価できることを示唆した。この成果は、第27回日本基礎理学療法学会学術大会にて発表を行った。さらに、進行期膝OA患者において内側広筋の筋輝度が高くなる、すなわち筋内脂肪浸潤が増加していることが知られていたが、本研究で得られた知見を参考に機能障害悪化との関連を検討した。その結果、進行期膝OA患者では、内側広筋の高い筋輝度が機能障害だけではなく、症状の悪化にも関連することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の2022年度計画では、年度内に縦断調査を終了し、データ分析を終える計画であった。しかし、現状では、縦断調査を完了したものの、データ分析は未完了の状況にあり、結論を得るに至っていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度計画であった縦断調査を終了しており、データ分析を進めている状況にある。そのため、今後の推進方策に大きな変更はないものの、データ分析をより円滑に進めるため、研究協力者の調整等により分析速度を加速させる予定である。これにより、2023年度内には、分析結果を整理し、その成果発信まで実施する計画である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症拡大に伴い、データ収集および学会発表の機会が遅延・減少したことで、人件費や旅費の支出が当初予算よりも減額された。次年度は、最終年度にあたりデータ分析のための研究協力者の雇用や成果発表の機会増加が見込まれるため、それらへの捻出が必要となる予定である。
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Research Products
(8 results)