2020 Fiscal Year Research-status Report
オーバースピードトレーニングが走パワー発揮特性に及ぼす影響の解明
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20K19527
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Research Institution | Josai University |
Principal Investigator |
篠原 康男 城西大学, 経営学部, 助教 (50755535)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 短距離走 / 走パワー発揮特性 / 牽引走 / トーイングマシン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,最大努力での加速疾走中に発揮したパワーの発揮特性とトーイングマシンを用いた牽引走時の走パワー発揮特性を比較し,牽引走によるオーバースピードトレーニングが走パワー発揮能力に及ぼす影響を明らかにすることである。 本年度はまず,本研究を実施する上で必要な設備備品として,疾走の一部始終に渡って走者を牽引するトーイングマシン(1080 sprint,1080 Motion)を購入し,予備測定を行った。本研究で用いるトーイングマシンは,これまでの先行研究で用いられていた牽引装置(SPEED-MAX,ニシスポーツ社製)と比較して,牽引力の大きさを詳細に設定することも可能となっている。このことにより,牽引走による走パワー発揮特性の解明に加えて,牽引走の効果的な利用方法を検討する上でも有用である。予備測定として,学生短距離選手にスタンディングスタートによる最大努力での60m走と60m牽引走を行わせた。牽引する際の力については,全力疾走時の最大疾走速度に対して110%の値が目安とされており,先行研究によると3~5kg程度が適切とされている(日本スポーツ協会,1988,1989,1990)。予備測定では,最大努力での60m走の後,牽引力を3kgと5kgに設定し,60m牽引走を行った。これらの試技中の疾走速度変化を測定し,牽引力の影響を検討した。分析の結果,牽引力を3kgに設定した際の60m牽引走における最大疾走速度は,最大努力での60m走時の最大疾走速度に対して102%~104%の値になっていた。また,牽引力を5kgに設定した際の60m牽引走時では,106%~107%の値となっていた。このことから,試技中の最大疾走速度を基準とすると,牽引力の設定は概ね先行研究に準ずるものの,110%の値に近づけるには牽引力を5kg以上に設定する必要もある可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究の目的は,最大努力での加速疾走中に発揮したパワーの発揮特性とトーイングマシンを用いた牽引走時の走パワー発揮特性を比較し,牽引走によるオーバースピードトレーニングが走パワー発揮能力に及ぼす影響を明らかにすることである。本年度の当初の計画では,最大努力での加速疾走中および牽引走時に,疾走速度変化と合わせて被験者の1歩ごとの地面反力の測定実験を行う予定であった。しかし,新型コロナウイルス感染症拡大の影響で,本研究で用いるトーイングマシンを生産元の海外メーカーから購入して国内へと輸送する手続きが大幅に遅れてしまい,予備測定が年度末にずれ込んでしまった。また,新型コロナウイルス感染症の拡大により,その他の活動(主に教育活動)へのエフォートが当初想定していた以上に大きな割合を占めてしまった。そのため,本研究へのエフォートを十分に確保することができず,研究遂行に影響が出たことから,予定していた測定実験の準備やその環境整備が難航した。以上のことを踏まえ,遅れていると判断したが,トーイングマシンの設定や運用方法などは,予備測定の実施により進めることができた。新型コロナウイルス感染症の状況にもよるが,当初の計画をもとに,引き続き測定や実験を実施し,本研究の目的を達成していきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
予備測定で得られたデータを踏まえ,牽引力の設定に関する予備実験を実施する。測定したデータを分析し,得られた知見を踏まえて,当初予定していた最大努力での60m走と60m牽引走,牽引走後の最大努力での60m走の走パワー発揮様態に関する比較検討を進める。また,当初計画していた地面反力の測定実験についても,新型コロナウイルス感染症の状況を見極めつつ,感染予防対策や実験環境の整備,日程調整などが済み次第,測定実験を実施する予定である。測定が終わり次第,得られたデータの解析および整理を進めていく。
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Causes of Carryover |
当初の計画で購入を予定していたトーイングマシンについては,納入時期が大幅に遅れたものの,購入することができ,本年度の助成金のほとんどを使用した。ただ,新型コロナウイルス感染症拡大の影響で,当初計画していた測定実験を本年度中に実施することができなかったことや,トーイングマシンの納入が遅れた関係で,実験や測定に関わる費用を計上することができず,次年度への繰越金が発生した。繰り越した助成金は,今年度予定している実験・測定やその分析,論文投稿にかかわる英文校正等に使用する予定である。
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