2020 Fiscal Year Research-status Report
茶カテキンの腸内環境改善作用を介した抗肥満作用とその機序の解析
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20K19672
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Research Institution | Jumonji University |
Principal Investigator |
後田 ちひろ 十文字学園女子大学, 人間生活学部, 学科助手 (30869764)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | EGCG / 肥満 / 腸内細菌叢 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではの目的は、茶カテキン(epigallocatechin-3-gallate: EGCG)の抗肥満作用が腸内細菌叢のdysbiosis改善作用によることを直接確認し、その分子機構を明らかにすることである。 マウスを用いた動物実験と細胞を用いたin vitro試験を組み合わせて解明する。今年度はEGCGの抗肥満作用は腸内細菌叢改善作用に起因するものか明らかにするために、EGCGを摂取したマウスの腸内細菌叢移植実験を実施した。 具体的には、EGCGを摂取させたマウスの腸内細菌叢を移植し、普通食にて体重の変化を観察した。まず、EGCGを摂取させたドナーマウスを作成するために、C57BL/6雄性マウスへ高脂肪食(HFD)あるいは0.32%EGCG添加高脂肪食(HFD +EGCG)をそれぞれ8週間摂取させた。解剖時には盲腸内容物を採取し、試料を調製した。次に、腸内細菌叢を除菌したレシピエントマウスの作成を実施する。1週間抗生物質カクテル(アンピシリン、バンコマイシン、ネオマイシン、メトロニダゾール)を自由飲水下で投与し、消化管内を除菌したレシピエントマウスへドナーの腸内細菌叢を経口投与し、移植した。各群のレシピエントマウスは引き続きEGCG無添加の普通食で飼育し、腸内細菌叢の違いによる影響を観察した。EGCGの摂取と腸内細菌叢の関係性について、腸内細菌叢移植実験より明らかになった点を踏まえ、来年度は実験条件をあらためて、EGCGによる肥満予防と腸内細菌叢の関係性について検証する予定である。そのため、来年度は計画を一部変更してEGCGの抗肥満作用と腸内細菌叢のdysbiosis改善作用が直接的に関与しているか、間接的に関与しているかを明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
EGCGの抗肥満作用が腸内細菌叢のdysbiosis改善作用によることを直接確認し、その分子機構を明らかにすることを目的に実験を実施した。具体的には、腸内細菌叢の関与については除菌マウスへの高脂肪食摂餌実験ならびにマウス腸内細菌叢移植実験により検証し、分子機構についてはEGCGによるAkkermansia属菌増加に着目し、腸管バリア機構に与える影響を検討する。 EGCGの抗肥満作用は腸内細菌叢改善作用に起因するものか確認する動物実験を実施した。具体的には、EGCGを摂取させたマウスの腸内細菌叢を移植し、普通食にて体重の変化を観察した。まず、EGCGを摂取させたドナーマウスを作成するために、C57BL/6雄性マウスへ高脂肪食(HFD)あるいは0.32%EGCG添加高脂肪食(HFD +EGCG)をそれぞれ8週間摂取させた。解剖時には盲腸内容物を採取し、試料を調製した。次に、腸内細菌叢を除菌したレシピエントマウスの作成を実施する。1週間抗生物質カクテル(アンピシリン、バンコマイシン、ネオマイシン、メトロニダゾール)を自由飲水下で投与し、消化管内を除菌したレシピエントマウスへドナーの腸内細菌叢を経口投与し、移植した。各群のレシピエントマウスは引き続きEGCG無添加の普通食で飼育し、腸内細菌叢の違いによる影響を観察した。また来年度は細胞実験を実施するために、予備検討を実施した。 今年度は新興感染症による入構禁止期間があったため予定を大きく変更したが、順番を入れ替えて研究を実施したため、概ね順調に進展しているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的は、EGCGの抗肥満作用が腸内細菌叢のdysbiosis改善作用によることを直接確認し、その分子機構を明らかにすることである。 今年度は腸内細菌叢の移植実験を実施し、腸内細菌叢の違いによる影響を観察したが、有意な変化は観察されなかった。そのため次年度は実験条件をあらためて、EGCGによる肥満予防と腸内細菌叢の関係性について検証する予定である。申請者の所属変更に伴い、無菌マウスを扱える施設を使用できなくなったため、除菌マウスを用いた実験に変更し、研究を推進する予定である。EGCGの抗肥満作用は脂質代謝改善作用に起因するものか確認するため、腸内細菌を除去した除菌マウスを用いて、EGCG摂食実験を実施し、体重の変化を観察する。1)除菌マウス-普通食群、2)除菌マウス-高脂肪食群、3)除菌マウス- EGCG添加高脂肪食群の3群へ分け、飼育、解剖、解析を行い、結果を比較する。 また、EGCG摂取による脂肪肝抑制作用の機序を明らかにするため、肝臓組織検体を用いて、新たにマイクロアレイ解析を実施する予定である。当初の予定である、細胞実験も組み合わせて、EGCGの抗肥満作用の分子機構を明らかにする。 以上の実験を実施し、結果を公表する計画である。
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Causes of Carryover |
今年度は新興感染症による入構禁止期間があり、研究を一部変更して実施したため、物品費・人件費の使用額が予定よりも少なくなった。また学会などが延期あるいはWeb開催へ変更されたため、旅費やその他経費の使用額が変更になったことにより、次年度使用額が生じた。未使用額は延期になった学会の参加、さらに一部変更した研究の実施のために使用する予定である。
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