2023 Fiscal Year Annual Research Report
骨格筋代謝機能に着目した加齢に伴う筋の質的変化の検討
Project/Area Number |
20K19691
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
吉子 彰人 中京大学, 教養教育研究院, 講師 (70825124)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 骨格筋代謝機能 / 筋細胞内脂肪 / 高齢者 / 磁気共鳴分光法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,骨格筋内の脂肪と筋代謝機能 (筋酸素化機能) の関係を検討することであった.本年度は取得したデータの解析を行い,学会および論文で得られた成果を発表した.本研究では以下2つの成果が得られた.1. 高齢者の筋酸素化機能とサルコペニア関連指標との関係:本研究では,高齢者における筋酸素化機能の生理学的意義について検討するため,筋酸素化機能とサルコペニアに関連する四肢骨格筋量,握力,歩行速度,イス座り立ち,Timed Up and Go,足関節底屈最大筋力および筋持久力との関係を検討した.その結果,筋酸素化機能と歩行速度との間において有意な相関関係が認められた (rs = -0.59, P < 0.05).これによって,筋酸素化機能が高齢者の筋の状態を知るための新たな指標となることが示唆された.2. 若齢者および高齢者における筋酸素化機能と骨格筋内の脂肪 (筋細胞内脂肪および筋細胞外脂肪) との関係:筋酸素化機能は骨格筋内のミトコンドリア機能を反映する指標である.ミトコンドリアは筋の代謝を担う器官であることから,本研究では,エネルギー基質となる筋細胞内脂肪と筋酸素化機能の関係を検討した.その結果,若齢者においては筋酸素化機能と筋細胞内脂肪の間に有意な負の相関関係を認めた (r = -0.47, P < 0.05).すなわち筋酸素化機能が高いものほど筋細胞内脂肪が低いことが示された.一方,高齢者においては両値の間に有意な関係が示されなかった(r = 0.22, P = 0.45).さらに筋酸素化機能と筋細胞外脂肪の間には両者において有意な関係が示されなかった.この研究成果によって,筋酸素化機能は骨格筋内における脂質のエネルギー代謝を担う可能性が示された.
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