2021 Fiscal Year Annual Research Report
Brain connectivity changes related to age-induced decline in visuomotor control
Project/Area Number |
20K19708
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
渡邊 龍憲 広島大学, 医系科学研究科(保), 助教 (20868400)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 視覚運動制御 / 加齢 / 脳機能ネットワーク / 経頭蓋磁気刺激 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、高齢ドライバーによる交通死亡事故が社会問題となっており免許の自主返納が助言されている。しかし、公共交通機関の充実していない地方に暮らす高齢者にとって自動車は生活の足であり、不安ながらも運転を継続しているのが現状である。よって、安全に運転することができる期間(安全運転寿命)を延伸することが重要となるが、運転時に必要となる視覚情報を用いた動作の制御機構や機能低下に関わる生理学的機序は解明されていない。本研究は、視覚運動制御機能の加齢低下に関与する脳機能ネットワークを解明することを目的とした。 令和2年度は、トップダウン型の注意機能に関わる、中前頭部で生じるシータ律動が視覚運動制御に関連することを報告した。 令和3年度は、視覚運動制御中に、(前)補足運動野、背外側前頭前野、運動前野が運動肢と対側の一次運動野に対して、どのように機能しているのかを検討した。実験協力者は、PC画面に表示される視覚情報を用いて発揮筋力を調整する課題を行った。PC画面には、実験協力者自身の発揮筋力とターゲットを呈示し、実験協力者には、できるだけ正確に発揮筋力をターゲットに合わせるように指示した。課題実施中には、経頭蓋磁気刺激の2連発刺激を用いて、脳領域間の結合性を検討した。その結果、より正確な視覚運動制御が要供された場合に、運動肢と同側の運動前野が運動肢と対側の一次運動野に対して、抑制性に機能することが明らかとなった。また、補足運動野は、運動肢と対側の一次運動野に対して促通性に機能している傾向を示した。 令和2~3年度の研究結果より、視覚運動制御において、中前頭部のシータ律動や補足運動野及び運動前野と一次運動野のネットワークが重要な役割を担うことが明らかとなり、視覚運動制御機能の加齢低下には、これらの脳機能の変化が関連する可能性が示唆された。
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