2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of multiple robust inference procedures for net survival
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20K19754
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小向 翔 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (70794543)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | がん登録 / ネット生存率 / 一般集団生存率 / 多重頑健推測法 |
Outline of Annual Research Achievements |
地域がん登録データの解析では,死因の情報が未観測という特有の特徴からネット生存率と呼ばれる仮想的ながん生存率の推定が行われる.ネット生存率の推測法としてモデルを仮定しないノンパラメトリック法やモデルに基づいた方法等,複数の方法が提案されている.しかしながら,地域がん登録データ解析でしばしば議論される共変量に依存した打ち切りの存在下では,ノンパラメトリック法の妥当性が失われるため,生存時間分布もしくは打ち切り分布に対するモデリングが必要となる.仮定したモデルが正しい場合には妥当な推定結果を与えるが,誤特定した場合にはもはや妥当な推定とならない.そこで,モデルの誤特定のリスクを軽減させることは重要な問題である.本研究では,多数のモデルを同時に使用することでモデルの誤特定のリスクを軽減することを目的としている. 本年度は,地域がん登録データ解析において他死因による死亡を調整するために使用される一般集団生存率の不完全性に対する議論を行った.この議論により,これまで,生存時間分布に対するモデルと打ち切り分布に対するモデルの二種類のモデルをターゲットとしていたが,さらに一般集団生存率に対するモデルの必要性が明らかとなった.このことを受けて,一部方向を修正し,初めに一般集団生存率に対するモデルを使用した推測法を検討した.推測法の大部分は既に構成しており,数値実験により単純な設定ではあるものの提案法が有効に機能することを確認した.多重頑健推測法への拡張を検討しているが,がん登録データの持つ死因の情報が得られないという根本的な問題が多重頑健法への拡張の妨げとなることが明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
推測法を構成する過程の中で,一般集団生存率に対するモデルの必要性が明らかとなり,このモデルを使用した推測法の整備を行った.提案法の大部分は構成済みであり,単純な数値実験の結果はそろっているが,学術論文の投稿には至っていない.当初想定していた数理モデルに加え,一般集団生存率に対するモデルを組み込んだ多重頑健法の構成を検討しているが,死因の情報が未観測ということがこの構成の妨げとなっていることが明らかとなった.現在は,この問題を解決する着想を得ており,当初の研究計画から軽微な修正があるもののおおむね順調に研究が進展していると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
一般集団生存率に対するモデルを使用した推測法の数学的正当化を行い,追加の数値実験を実施する.開発した手法を実際のがん登録データに適用してその有用性について検討を行う.これまでの研究過程で明らかとなった問題の解決に対する着想は既に得ており,それを基に多重頑健推測法の開発を行う.開発した推測法の理論的正当化と数値実験,および実データへの適用を行い,多重頑健法の周辺の整備を行う.これらの研究成果を積極的に学会発表や論文により公表を行う.
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Causes of Carryover |
COVID-19のパンデミックの影響により,現地参加を予定していた国際学会がオンライン開催になったため,旅費として計上していた支出予定額が発生しなかった.同様に現地参加を予定していた二つの国内学会の内,一つがオンライン開催,もう一つが中止となったため,次年度使用額が生じた. 研究に関連した国内外の学会や研究セミナー,ショートコースなどにオンラインで参加する予定である.
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Research Products
(2 results)